タール火山の噴火と、アクセス事業地への影響について

1月12日(日)の午後にタール火山が噴火したとの報道を受け、フィリピンの友人や、アクセスの事業地に暮らす人々のことが心配だ、という声をいただいています。2月のスタディツアーへの参加を予定または検討されている方は、ツアーへの影響が気になっていることでしょう。

先ほど届いた、現地スタッフからの情報とともに、アクセスの事業地やスタディツアーへの影響を簡単にご報告します。

アクセス・フィリピン事務局長のリサさんより

私はテレビのニュースで、大きなきのこ雲となって煙と灰が吹き上がる火山の様子を目にしました。少し恐ろしく感じ、同時に火山周辺に暮らす人たちのことがとても心配になりました。1991年に噴火したピナツボ火山で被災し、大変な思いをされた人々のことが思い出されました。

報道によれば、噴煙は9マイル(1万5000メートル)もの高さにおよび、数千人の人々を脅かしました。

噴火の直後、私が暮らしているマニラ首都圏でも降灰が続き、私たちは灰が家の中に入ってくるのを防ぐため、窓や扉をすべて閉めました。翌月曜にマスクを購入しようと思いましたが、既に近所の薬局はどこも品切れ。タオルやハンカチで口を覆って出かけました。

巷では「N95微粒子用マスクを使った方がいい」という情報が広がり、普段なら1つ25~35ペソ(50~70円程度)で売られているそのマスクが、噴火の影響で200ペソ(約400円)まで値上がった店もありました。そのため14日(火)には、保健省が「マニラ首都圏内の降灰は少量なので、N95微粒子用マスクの着用は不要。一般に流通しているマスクでも事足りる。」と発表したほどです。

火山のあるバタンガス州では、16日までに約53,000人が同州内の避難所へ、数千人が全国に避難しています。タール火山は、高さが311メートルと、比較的低い山ですが、フィリピンで2番目に活発な火山です。

アクセスの事業地の人々への影響

タール火山があるバタンガス州では、影響が大きく、周辺住民は家畜や家を失い、今後の見通しも立たない状況の中で避難生活を送っています。

アクセスが活動するマニラ首都圏は、火山から約80km、アラバット島ペレーズ地区(ケソン州)130kmほど離れています。ペレーズやマニラでは13日の午前中まで少量の降灰があり、当初はマスクをつけて過ごす人も見られました。また、学校や官公庁は13~14日はお休みとなりました。しかし現在は通常通りの生活に戻っています。

17日午前段階で、依然として警戒レベル4(数日中に大きな噴火の可能性がある)が出ているので、大きな噴火があれば、学校や官公庁などはすぐに授業や業務を停止して帰宅する体制がとられることになっています。

スタディツアーへの影響について

スタディツアーでの訪問地は、上記のアクセス事業地(マニラ首都圏、アラバット島ペレーズ地区)と、元事業地であるパンパンガ州です。いずれも、火山から80km以上離れており、仮にツアー前またはツアー中に大きな噴火が発生したとしても、その影響は一時的な降灰程度だろうと推測されます。その場合は、多少プログラム内容の変更が必要かもしれませんが、一般的なマスクを着用してツアーを実行できるのではないかと考えています。

ツアーの出発日または帰着日に大きな噴火が発生した場合、降灰の影響でフライトがキャンセルされる可能性が高いです。この場合、出発日または帰着日をずらしてスタディツアーを実施することを検討しています。

噴火による影響を懸念して、スタディツアーへの参加をためらわれている方は、ぜひ一度ご相談ください。判断に役立てるような情報をお伝えできるかもしれません。いろいろな情報を得た上で、参加をご検討いただければと思います。

被災地への支援について

アクセスでは、日頃から活動している事業地で発生した災害に対してのみ、救援・復興支援を行うことにしています。そのため、今回の噴火被災地に対する支援活動は予定していません。台風・地震・火山噴火など、災害の多いフィリピンにおいて、全国各地で起こる災害に対応していると、「子どもたちや女性のエンパワメント」というアクセスのミッションを果たすことが難しくなってしまうためです。
噴火被災地への支援ができる団体をお探しの方は、ご相談ください。

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