
アクセス理事長 野田さよ
アクセスは2026年1~2月に、クラウドファンディングに挑戦します。それにあたり、12月13日と20日に「なぜ今クラファンが必要なのか」をお伝えする会を開催しました。当日、ご参加いただけなかった方々にもぜひその内容をしっていただきたく、アーカイブ動画(13日開催トーク部分のみ)および、概要テキスト(13日と20日のダイジェスト版)を本ページにまとめました。どうかご一読ください!
本ページ末尾に、アンケートをご用意しています。ご回答いただけましたら、とってもうれしいです。
概要
アクセスは創設から37年、フィリピンと日本で貧困や人権侵害をなくすための活動を続け、5,000人以上の人生に関わってきました。その「種まき」は確実に実を結び、人々の暮らしを変えてきました。しかしその一方で、財務状態は過去最悪。このままでは2026年5月に倒産の可能性があるという、まさに存続の危機に直面しているのです。
活動は過去最高にうまくいっているのに、なぜこのような事態に陥ってしまったのか。その背景と私の今の想い、そして今後取り組むべき「3つの改革」について、お伝えします。
現在の状況
- 創設37年、貧困や人権侵害の痛みを和らげ、「生きる力・変える力」を伸ばす活動を継続
- 活動は過去最高にうまくいっており、確実に人々の暮らしを変えている
- その一方で、円安と物価高騰により、財務状態は過去最悪
- このままでは2026年5月に倒産の可能性
倒産回避のための3つの改革
- クラウドファンディング
- 財務構造改革
- 理事会改革
これまでの努力と危機
実は、アクセスの経営難は今に始まったことではありません。10年前に大口寄付が減少したこと、3年続いた助成金が終了したことを契機に、赤字構造が顕在化。それ以降ずっと、経営は綱渡り状態が続いてきました。

2020年、コロナ禍でスタディツアーがすべて中止になり、収入が激減。このときは「アクセス存続募金」で700万円以上の寄付が集まり、皆さまの力で危機を乗り越えさせていただきました。
2023年には、理事長の右腕として新スタッフを採用するクラウドファンディングを実施。ここ2年はこの新スタッフとともに様々な改善策に取り組んできました。具体的には、支援者拡大キャンペーン、タスクの分業、経営分析とそれに基づく改善策の実施です。

経営分析からは、次のことが明らかになりました。
- 子ども教育:赤字
- フェアトレード:赤字
- スタディツアー:黒字
この結果に基づき、フェアトレード商品、スタディツアー参加費、子どもサポーター費の値上げを実施。2024年度には、改善策に取り組む前の2022年度と比べて、年間収入を700万円増やすことができました。(内訳:サポーター費収入80万円、寄付金収入250万円、スタディツアー収入400万円)
その一方で、経費総額も2022年度から408万円、増加しました。その主な理由は、職員増員による人件費の増加、スタディツアー経費の増加、および円安と物価高騰によるフィリピンでの活動費全般の増加です。
このため、2023年度以降は年度途中で事業運営資金が足りない時期が何度か発生し、私を含めた複数の理事から最大380万円の借入をすることで、ギリギリ資金繰りをしている状況が続いています。
今、【抜本的な構造改革】に取り組まなければ、年300万円前後の赤字体質が続き、借入金返済も難しい状態に追い込まれ、いずれ倒産することは必至です。
今の私の心境
これまでの私は、経営難だと認識しつつも、「なんとかなる、これまでだって何とかなっていたのだから」と楽観的に構えていました。でも2023年度に初めて借入が必要となり、やっとその深刻さを理解しました。そして2025年度の頭には、フェアトレード事業を終了するしかないという選択に至りました。本当に続けたかった事業でしたが、その決断をせざるを得ませんでした。
アクセスの活動を守るためとはいえ、フェアトレード担当スタッフや生産者さんに犠牲を強いる決断はとてつもなく重く、自らの経営力の至らなさを痛感する日々が続きました。表向きは明るく振る舞いながらも、カウンセリングを受けたり事務所のスタッフと何度も話し合ったりして、なんとか心と頭を整理し、最善の決断を積み重ねようと全力を尽くした1年でした。
そうした中で、気づいたことがあります。それは、「私は情熱だけを頼りに走ってきて、経営や財務から目を逸らしてきたのだ」ということです。そんな自分の弱さを、今更ですが直視し、受け入れようとしています。
「いっそのこと、もうやめてしまった方がよいのでは」と思う瞬間もあります。でも、そう思うたびに、アクセスで出会ってきた人たちのこと、フィリピンでたくさんの子どもたちにチャンスを届けられていることを思い起こし、「やっぱり終わらせたくない、終わらせたらだめだ」、と思い直しています。
アクセスの活動の意義・価値
「もうやめたい」と思ってもやめなかったのは、アクセスの活動によって多大な価値を生み出してきたという実感があったからです。改めて活動を振り返ると、37年間で5,000人以上の人生に関わってきました。
- 子どもへの教育支援と権利啓発:のべ3,900人
- フェアトレードによる仕事づくり:のべ140人
- スタディツアー:約1,000人
教育支援を受けた子どもたちが大人になり、「安定した仕事に就き、弟妹を学校に行かせ、今やっと自分の家族ができた」という報告が届いています。元スタディツアー参加者の中からは国連職員やNGO起業家が誕生し、サポーターとして継続的に支援をしてくださっている方は数百名にものぼります。
アクセスの活動には、次のような強みがあります
- フィリピンで、支援金や物資を届けるだけでなく、現地の人の「生きる力・変える力」を伸ばす
- 日本とフィリピンで国境を超えて協働する人を増やす
- グローバル経済の構造と私たちの関わりを伝え、一人一人が「自分に何ができるのか?」を考えようとする
これらの種まきが、確実に若葉として芽吹いてきました。こうした活動を誇りに思い、続ける価値があると確信しているからこそ、今、抜本的な構造改革に取り組みたいと思っています。
3つの改革の内容
この危機的状況を乗り越え、継続して価値を届けるために、以下の3つの取り組みを行っていきたいと考えています。
1. クラウドファンディング
2026年度の資金不足を解消し構造改革を行うための時間を作るために、クラウドファンディングを行います。
- 実施期間:2026年1月6日~2月25日(予定)
- 目標金額:450万円
準備が整いましたら、皆さまにメールやSNSでお知らせします。
2. 財務構造改革(26~27年度の2年間で)
| 改革内容 | 効果 | |
| フェアトレード事業 | ・2025年度末で事業終了 ・日本とフィリピンのフェアトレード担当スタッフの削減 | 赤字70万円を削減 |
| 新規スタディツアーの実施 | ・社会人向け短期ツアー10名×2本(26年度~) ・フィリピン在住者向けツアー5名×2本(26年度~) ・親子向けツアー10組×1本(27年度~) ・臨時スタッフ登録制度を創設(26年度~) | 増益200万円 |
| マンスリー・サポーター募集強化 | ・ツアー参加時入会:年44名 ・キャンペーン等:年30名 | 増収148万円 |
| 収支改善見込み額 | 合計418万円 |
これまでのアクセスは、「いい活動だから、収入が少なくてもやった方がいい」という発想をしがちでした。しかし、それはもう繰り返しません。しっかり収入が入ってきてプラスの収支構造になり、かつ意義のある活動にする――そこを徹底していきたいと強く決意しています。
3. 理事会改革
こうした財務構造が長引いてしまった最大の要因は、私をはじめとする理事会メンバーの「チームとしての経営能力の限界」にあります。各理事が力を尽くしてきたことは間違いありません。でも今ふりかえってみれば、抜本的な改革を先送りしてしまう理事会になっていたのだと思います。2026年度には、経営能力を強化してくれるであろう新理事を迎えて理事会の構成を刷新し、財務構造改革を推進します。
参加者からの声
野田からの報告が終わった後、参加者の皆さまから様々なご意見やご感想をお寄せいただきました。
クラウドファンディングの位置づけについては、「今を乗り切るためにクラファンは必要だが、改革によって具体的にどれだけの収入が見込めるのかの見える化も大事」「マンスリーサポーターを増やしていくことも重要」など、今後のアクセスの経営に関する多様な意見が共有されました。(本ページの内容の一部は、「語る会」の中でいただいたご意見を元に内容がアップデートされています。)
また、スタディツアーについては、「若者だけでなく、元気な高齢者にも参加してもらえるツアーになっていけば、世代間交流もできて良い」「社会人も参加しやすい短期ツアーを実現してほしい」「モノが売れなくなっている時代、経験に対するニーズが高まっている。スタディツアーはニーズのある事業だと思うので、参加者募集の面で工夫をしてぜひ結果につなげてほしい」といった声が上がりました。
最後に
2026年1月6日スタート予定のクラウドファンディング、そしてその後の構造改革。アクセスは今、大きな挑戦に向き合っています。組織延命が目的では決してありません。貧困や人権侵害によって苦しむ人を減らすために、私たちは活動を続けたいのです。
フィリピンでも日本でも、「自分なんて無力だ…」と感じている人が少なくありません。でも実際には、「変えていく力」は全ての人の中に眠っています。「私にも社会問題を解決する力があるんだ」という実感を多くの人に届けること。それがアクセスの大きなミッションです。私たちはそれを積み重ねることで、貧困や人権侵害を減らすことに貢献してきました。
アクセスを再建する「大改革」は、私一人が担うには、荷が重すぎます。でも、「アクセスの活動を守りたい」と願ってくれる皆さんがいれば、必ず改革を成功させることができると信じています。もし私の決意に共感していただけたなら、ご負担にならない形で、どうかお力を貸しください。
認定NPO法人アクセス 理事長

クラファンについて、何らかの形で応援したい・協力したいと思って下さった方は、ぜひアンケートにご回答ください。アクセスの今やこれからについて、忌憚のないご意見を聞かせていただけるのも大変ありがたいです。

