「押しつけないフェアトレード」を目指す。エシカルジャーナリスト・ARISAさんインタビュー【前編】

「会員・サポーターでも寄付者でもないのに、アクセスのカードをSNSでめちゃくちゃ推してくれている人がいる」― 「エシカルジャーナリスト」としてエシカルやフェアトレードの視点を積極的に発信されているARISAさんは、アクセスのグリーティングカードの取引店であるシサム工房のスタッフさんでもありました。

アクセスの商品との出会いやフェアトレードへの想いについて、お聞きしました。

(インタビュー実施:2021年8月26日、Zoom利用、 記録:アクセスFT事業部 園田・竹内)

「エシカルジャーナリスト」とは?

―SNSでは「エシカルジャーナリスト」と書かれていました。

フェアトレードに最初に関心を持ったのが、高校1年生の時。それ以来ずっとフェアトレードやエシカルに興味を持っています。

「エシカルジャーナリスト」というのは、自分でつくった肩書なんです。実際にウェブで調べたりフェアトレードショップの方・生産されている方にお話を聴きに行ったりして、エシカルやフェアトレードについてブログも書き始めました。「調査して、自分の言葉で声にするって、ジャーナリスト、かな」と思い、気楽につけてみました。

―SNSを拝見してますが、例えばアクセスのお取引先のひとつであるシサム工房さんなどともつながりがあるんですね。

実は、転職して、4月からシサム工房で働いているんです。だからアクセスさんがお客さんになっていて(笑)。なので、より近い存在になりました。

―すみません、それは知りませんでした….(笑) いつもありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。

自己肯定感が低かった

―フェアトレードに関心を持つきっかけは?

小さいころから「自己肯定感」が低かったんです。「なんのために自分は生きているんだろう」と思うことが多くて。そんな時、親の手伝いをしたり、誰かのために動いていたりするときの自分が好き、自分がキラキラしてると感じることに気がつきました。

「人のために動きたい」と思って寄付やボランティアにもトライしたのですが続かなくて、「続けないってことは偽善者じゃない?」と人に言われたこともありました。「偽善じゃなくて、本当に人のため地球のために働きたい!」と思っていた時、高校の授業でフェアトレードの話を聞いて、「これだったら仕事を通して誰かのためになる。生産者のためにも地球のためにもなる!」と思いました。それからフェアトレードについて学び始めました。

大学ではフェアトレードばっかり(笑)。図書館のフェアトレードの本を読み尽くしたのですが、本は同じような人が同じようなことを書いているので、「自分で見に行った方が面白いかも」と思い、カンボジアとタンザニアのフェアトレード現場を見に行ってみました。今の普段の生活にも通じていますが、「自分の目で見て、納得したい」という気持ちが強いんだと思います。

フェアトレードを知って、「このフェアトレードといういい仕組みを、みんなにとにかくとにかく広めたい!」という気持ちが、今もずっとエネルギーになって続いているという感じです。

―「自分の生きている理由」の答えが、ARISAさんにとってはフェアトレードだったんですね。

高校一年生の時のフェアトレードの授業で配られたプリント。今でも大切に手元に置いておき、見るたびに、フェアトレードを知った時のことを思い出すとのこと。

フェアトレードに出会う前ですが、もうひとつ大きかったかなと思うのが、東日本大震災でした。なにもできない自分にすごく無力さを感じたんです。ただテレビで映像を見て、涙を流すしかない。だから、高校生になったら仕事について考える機会が増えるし、「誰かの役に立つ、そういう仕事に人生をささげたい」と思っていたところでフェアトレードに出会った、ということもあると思います。

―自分ができること、それがちゃんと人のためになること、というところでフェアトレードが腑に落ちるものだったんですね。

「かわいそう」じゃない

高校が異文化理解や国際関係を学べるコースで、授業で差別や貧困について学んだ時、「生まれた場所が違うだけで、なんでこんなに苦しんでいる人がいるんだろう?」とすごく不公平を感じました。私の中で、「不公平をなくしたい」という気持ちがすごく強くて、それがフェアトレードに結びついています。

なんで「不公平」に意識が向いているんだろう、って自問自答を繰り返しているんですけど、これといったきっかけは思い当たらなくて。ただ、みんな能力や自分にしかできないことってあると思っています。能力を活かす環境は誰にも邪魔されてはいけないものだと思うんです。だから、不公平な社会システムによって、能力を発揮できていない人たちの役に立ちたい。私はフェアトレードを通して、不公平な社会を無くすために私の能力を捧げたいという気持ちがずっとあります。

途上国に行ったときに子どもたちの笑顔にすごく元気をもらいました。親のいない子たちだったのですが、すごく幸せそうに見えて。でも日本に帰ると、彼らは「かわいそう」と見られている。「かわいそう」っていうのも違うし、そう思われるっていうのも公平な感じじゃないしなあ、生まれた場所が違うだけなのになあ、と思って。「この子たちのためになりたい」という気持ちが強くて、今につながっています。

タンザニアの子どもたちと。この子たちの笑顔のために頑張る!と、何度もARISAさんの背中を押している写真とのこと。

―カンボジアやタンザニアへの訪問がインパクトのある経験だったんですね。

貧困というのを目の当たりにしたというのが大きかったのだと思います。本や他人の話ではなくて自分で見たからこそ、お金をもらいにくる子たちを前にして、「この子たちをどうにかしたい」というのが大きなエネルギーになっていますね。

あの高校にいっていなかったら、今の自分はいなかったと思います。思い返せば、兄が英語科の高校に通っていて、自分も英語が好きだったけれど、兄と同じ英語科に行ったら「負ける」と思って(笑) 兄への対抗心もあって、趣向の違う高校を選んだんです、「これだと兄に勝てる」と思って。きっと劣等感を持っていたんですよね。自分自身の興味や「自分ならでは」のものを探した結果、今につながっている、ということなんだと思います。

(後編へ続きます)

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