1年後、私はアクセスで活動し続けられてるんかな?

新型コロナウイルスに日常を奪われ、誰もがストレスを感じ、不安を抱えていることと思います。私も、自分でもうまく取り扱えない不安まじりの複雑な想いにとらわれ、視界が不透明な日々を過ごしています。

来年も、再来年も、これまでと同じように「スタディツアーをやり、そこで出会ったフィリピンの人々や日本の協力者の皆さんと一緒に、ちょっとずつ世界から貧困や人権侵害をなくすために行動する」つもりだったのに。私にとっての当たり前の日々、当たり前の未来のイメージは、新型コロナウイルスの出現によって突然、不確かなものになってしまいました。

待ったなしの、アクセス存続の危機

アクセスの財務状態は、数年前から厳しい状況にありました。ただ私は、心のどこかで「何とかなる」とも思っていました。なぜなら、この数年でフィリピンと日本のスタッフたちがどんどん力をつけ、活動の質が上がっていることを実感していたからです。また、2019年度に取り組んだ30周年記念事業では、予想以上に多くの方が力を貸してくださり、こんなにも私たちの活動を気にかけてくれている人がいるんだということに気付いたからです。いつの間にか事務局長としての孤独感は薄れ、「ボランティア・職員・理事と一緒に試行錯誤する」ことができるようになり、その試行錯誤の結果も徐々に手応えを感じられるようになっていました。

新型コロナウイルスは、そんな私の楽観ムードに冷水を浴びせました。感染拡大防止のため、スタディツアーは中止。今年度のアクセスの収入は1/4減少する見込みで、このままでは年度内に資金繰りが危うくなります。下手をすれば、来年の今頃、私は団体解散の手続きをしているかもしれない。そんなギリギリのところに、私たちは追い込まれてしまっています。

何のためにアクセスを存続させるのか?

フィリピンのスタッフとの会議の様子

「何のためにアクセスを存続させるのか?」崖っぷちに追い詰められる中、私は自らに問い直しました。
私にとってアクセスは、今も昔も、安心して本気で語り合える場所です。「こんな理不尽な現実は無視できない」「私たちに何ができる?」とアツく語り合うことができ、同じ熱を持って意見をぶつけてくれる仲間に出会える場所なのです。仲間たちとの語り合いは、私の視野を広げてくれ、私を豊かにしてくれたように思います。意見を言うのが怖く感じたり、反論を受け止めるのがしんどく感じることもあれば、本音を引き出すことに苦労することもありますが、結局は多くの人の声に耳を傾けて出した結論が、成功への近道になるということを、私はアクセスで学びました。空気を読むことが重んじられる組織も少なくない中、アクセスは意見交換を通じてより多くの人が納得感を持って関われる組織であることを大切にしてきたのだと思います。

また、フィリピンの人々とともに活動する中で、私は何度も自分の無知さや無力さに気づかされてきました。その度に、私の当たり前が他の人の当たり前でないことを思い知らされ、謙虚に学び続けることの大切さを痛感しました。そして、真摯に学びながら、同じ想いを持った人たちと協力して行動すれば、私たちは決して無力ではない、ということに気づきました。「世界から貧困をなくすなんて大事すぎて私の手に余る。でも、この子を卒業させたり、児童労働しなくてもいいよう支援するくらいのことはできる。そしてそれは、この子にとっては、世界の見え方が大きく転換するような変化なのかもしれない。」いつしか、そう思うようになりました。

文房具を受け取って笑顔いっぱいの子どもたち

フィリピンから届くレポートを読んでいると、子どもたちの成長ぶりが目に浮かぶようで、顔がにやけます。フィリピン訪問中にフェアトレード生産者の女性が「家庭の大切な決定に私も関われるようになったのよ」と笑顔で話してくれた時は、胸が熱くなりました。子どもたちの成長や、女性たちの暮らしの改善を感じるとき、私は本当にうれしくて、体中があたたかいエネルギーで満たされます。その感覚は、私の生きる糧となり、日常を支えてくれています。活動を通じて出会った仲間(フィリピンの子どもたち・女性・若者、そして日本のボランティア・サポーター・会員の皆さん)とわいわい楽しくおしゃべりしている時間もまた、私の日常を彩ってくれています。

そしてきっと、これは私だけのものではなく、アクセスという場に関わってきた多くの人々にとっても、共通した経験なのではないかと思っています。

誰でも安心して参加できるアクセスに

色んな世代のボランティアスタッフの皆さんと

「パワフルで明るいサヨさん」と思われがちな私ですが、実際にはしょっちゅう、うつ病の症状に悩まされています。そんな自分の弱さを公言するようになってから、実は多くの人が辛さや悲しみを胸の内に抱えているということが見えてきました。

以来、私は、しんどさを抱えている人にとっても居心地のいいアクセスにしようと心掛けるようになりました。どんな人でも安心して参加でき、いろんな違いがある者同士が、互いに学びあい刺激しあえるような場所になったらステキだなぁ、と。

  • 素の自分で笑い、語り合える。
  • 協力して行動できる仲間に出会える。
  • 私は無力ではないと思える。
  • 分かち合い、その結果をともに喜べる。

アクセスをそんな場として存続させたいと、私は強くつよく願っています。

誰もが苦しい時だから

新型コロナウイルスの影響は社会のすみずみにまで及び、誰もが何かしらのしんどさを経験しています。そんな中でこのようなお願いをすることは心苦しいばかりですが…。もし、あなたの状況が許すならば、アクセスの存続のためにどうか力を貸してください。来年の今頃、「あの時はほんとヤバイなって思ったけど、何とかなるもんやね」と皆さんと一緒にガハハハッと笑いたいと願っています。

そしてもし、あなたが新型コロナウイルスの影響などでしんどい状況にあるならば、どうか一人で抱えず、頼り先の1つとしてアクセスのことを思い出してください。

※アクセスでは2020年1月より、パナソニックとNPOコンサルタントの協力を得て、団体の強みと課題の洗い出し、それを踏まえた財務強化計画の作成に取り組んできました。しかしその矢先に、新型コロナウイルスの感染拡大が発生し、財務強化にむけた作業の途中で、存続の危機を迎えることになってしまいました。どうか「#アクセス存続募金」により、私たちに時間の猶予を与えてください。2020年の危機を乗りきった後には、団体の強みを生かしながら、必ずや危機に負けない団体にしていきます。

あなたの力を貸してください!

寄付で応援する

「#アクセス存続募金」を、7月下旬ごろまで募ります。寄付金200万円およびマンスリーサポーター85人を集めることが目標です!(並行して、クラウドファンディングも実施しています。)

エピソードを書いて応援する

#アクセス存続募金 キャンペーンを多くの人に知ってもらうため、「私とアクセス」というテーマで皆さんのエピソードを集め、SNSで発信します!ぜひあなたの想いを綴ってお送り下さい。(文量や内容は問いません。)

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この記事を書いた人

Sayo N

第二の故郷であるフィリピンで、「子どもに教育、女性に仕事を」提供することが仕事。誰もが自分のスタート地点から、自分のペースで成長できるような場づくりを大切にしています。アクセスの事務局長です。趣味はライブに行くこと。