フィリピンの人々にとって一年で最大のお楽しみは、クリスマスとお正月!今はコロナ禍により、以前ほど盛大にお祝いすることができなくなっていますが・・・。パンデミックが始まる前に現地スタッフが書いてくれた、フィリピンの年末年始についての記事をお届けします。
心の中のクリスマス
フィリピンは、クリスマスを世界中で最も長い期間祝うことで知られています。実際、お祝いは、9月1日から1月6日の公現祭(東方の三博士を祝う日)まで、4カ月以上続きます。9月になると、クリスマスソングで有名な歌手ホセ・マリ・チャンの歌が大音量で流れ出し、クリスマスの季節になったことを実感します。戸外ではクリスマスのランタンが飾られ、クリスマスツリーが飾られる家もあります。パタヤス地区のアクセスが運営する幼稚園で働くテスさんも例外ではなく、11月2日の万霊節が過ぎると、ポインセチアの花やクリスマス用の豆電球でクリスマスツリーを飾り始めます。
12月16日からは、子どもたちが何人かで家々を訪ね、クリスマスキャロルを歌って回ります。子どもたちは訪問先でもらった小銭を貯めて、クリスマスのための服や食べ物を買います。この日から教会では、夜明け前のミサも始まり、クリスマスの前日まで9日間続きます。この夜明け前のミサに全て参加すると、願いが叶うとされています。パヤタスにあるルパン・パガコ教会でも夜明け前のミサが朝4時から始まりますが、ミサに出る人は席を確保するために2時間も前から行って待たなければなりません。テスさんも時間があるときはいつも子どもたちとミサに参加します。
クリスマスは、家族そろって過ごし、絆を強める機会でもあります。テスさんも、26日に夫や9人の子ども、14人の孫などとともに親族会を開きます。一緒に食事をし、プレゼントを交換し、カラオケを心から歌って楽しむのです。
「クリスマス・シーズンのハイライトは?」と聞かれて、テスさんははっきりと答えました。「お互いに愛と思いやりを持つことです」と。ささやかなクリスマス・イブのお祝いであっても、彼女は、家族揃って食卓を囲むことに幸せを感じ、感謝します。特に昨年は、3人の子どもたちが職につき率先して家計を支えてくれたので、自分は幸運だと思ったそうです。
伝統が現代に溶け込んだフィリピンの新年
フィリピン文化は、植民地時代を経て現代に至るまでの様々な異文化の混合物と言われています。国民の大多数はカソリックの国だと思っていますが、実はフィリピンには、その他の伝統や慣習もあふれています。こうした古くからの伝統を新年の行事の中に見出すことができます。
アクセスが運営する幼稚園に息子を通わせているジェンさんは、古い伝統に則って新年を祝います。夫婦でレストランで働いていて、収入は子どもたちを食べさせるのに精一杯です。それでも、毎年大みそかには親戚とともに自宅でささやかな集まりを持ちます(フィリピンでは、大晦日にご馳走を食べるのが楽しみです)。今年は、水玉模様(収入が増えると言われています)の代わりに、赤い服をお揃いで着ました。
新年に丸い果物を12種類集めるとその年は繁栄するという、よく知られた言い伝えもあります。でも、今年は予算内に収めるために数種類、数個ずつ果物を買いました。年越しの瞬間には、窓を開けて幸運を招き、大きな音をたてて悪霊を追い払うという行事も行います。
このように、現代においても人々は伝統に従うことがありますが、そうした人たちもますます実際的になってきています。ジェンさんも、新年の習慣に従うことで希望を持とうとする一方、「生活を良くしていこう」という自らの決意が必要だとも考えています。より大切なことは、新年に心に刻んだ決意の記憶なのです。
(了)
*本記事は、2018年2月にアクセスのニュースレター「となりのアジア」で掲載されたものです。
*アクセスは、パヤタス地区で2018年度末まで幼稚園を運営していました。
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