アクセスという職場:EpisodeⅡ/ 1.仲間がいない。~職員・竹内の語り~

あなたにとって、アクセスはどのような存在ですか?
「支援先」「ボランティアする場所」「居場所」「取引先・協力団体」・・・・

人それぞれにさまざまなとらえ方やアクセスとの関係性があると思います。

そこで業務を行う人間にとっては、アクセスは「職場」という側面を持っています。
事務局職員が、職場としてのアクセスをどのように捉えているか、「アクセスという職場」と題して、連載します。

第3回は、 EpisodeⅡとして今月末で入職3年となる日本事務局職員・竹内の語りです。

第1回(EpisodeⅢ)はこちら→ https://access-jp.org/archives/column/workplace-episode3-1

次の12月がくると、アクセス日本事務局で働き始めて丸3年が経過することになる。聞くところによれば、私の勤続年数は歴代の職員の中で含め、野田さん(事務局長)の次に長いらしい。きっと理由はさまざまなのだろうけれど、毎年のように職員が入れ替わっていたようだった。

「勤続3年」というのは、社会人になって私にとっても最長記録なので、アクセスには私の勤続を可能にしたなにかがきっとあるのだと思う。とはいえ、「勤続3年」が私の前にいないというのにも、きっとなにかあるのだろう。

「勤続3年」から、アクセスの職場の性質を「1.仲間がいない」「2.エンパワメントと権力」「3.誠実であること」の3つの点で考えてみた。

1.仲間がいない。

アクセスで働いていて、「仲間がいない」という表現は、私にはとてもしっくりくる。

とはいえ「仲間」をどのように定義するかで印象なり表現なりは変わってくる。
私の場合「この人たちは仲間だ」と感じるのはどうやら、①同じ目標や目的に向かっているとき、 もしくは②同じことに一緒に取り組んでいるとき、のように思う。

①同じ目標や目的に向かっているのか?―否。

職員の短期間での入れ替わりについて考える過程で、きっと「どのようにして”一緒に活動を作っていく仲間”という感覚を職員みなで共有するか」という課題が見え、それに対する打開策のひとつとして、「情報の共有」「議論・検討の場を開く」という取り組みがなされてきたのだろう。

私が勤務しているこの3年の間に、事務局の姿勢として「職員間で情報をできるだけ共有すること」「事務局の業務などについて、可能な限り職員みなで決める」といったことが浸透してきたことで、アクセス日本が、またアクセス日比として進む方向がスタッフ間で共有されやすくなってきているように感じる。
野田さんや森脇さんは現地出張でフィリピンスタッフと話したことや、日本の理事会で議論された内容などを、私や中村さんに報告してくれたり、決め事を事務局スタッフ全員参加で話し合い検討する機会が増えてきたりしている。
その取り組みは、フィリピンのスタッフや受益者と直接の関わりが比較的少ない”末端”の職員である私にも、アクセスの活動や業務に携わっているという感覚や矜持を与えてくれたように思う。

2017年2月ピナツボ被災地訪問時、アクセス設立の幼稚園の敷地にて。

その一方で、私個人としてはやはりアクセスの職員としてみんなで同じ目標を共有している感覚があまりない。明確な理由は自分でもよくわかっていないのだが、自分が現地の受益者との触れ合いがほぼ皆無だからなのだろうか、「フィリピンの貧困解決のために活動している」というが「ピンとこない」というのが、私の正直な感想なのだ。
また、学生時にアクセスのツアーに参加して心揺さぶられる経験をしたり、なにか「アクセス」に強く惹かれる出来事があったりしたわけでもなく、「アクセス」への愛着とか思い入れのようなものは、特にない。
そもそも自分に10年後があるのかさえ、想像が不可能なくらい未来が思い描けない私には、アクセスが10年後にどのような組織となりどのような取り組みを行いたいかなどの議論に、一ミリも関心がない。

したがって、組織としては過去の歴史を踏まえて、職員で同じ目標や目的に向かっていくための取り組みを少しずつ行ってきているわけだが、残念ながら私個人としてその”波”に乗れていないというのが、現状だといえる。

②同じことに一緒に取り組んでいるのか?―否。

この場合の「同じこと」というのは、「同じ業務」という意味で用いている。

事務局職員は4名であり、この4人ですべての仕事を回すことになる。
私がアクセスで働き始めたころ、ほとんどの仕事/プロジェクトが「〇〇担当」ということで丸ごと一人の担当者に一任されていた。そのため、担当者は「担当」になると、その仕事/プロジェクトを進めるにあたって必要とされる業務が、仮にその人の苦手とする分野であっても、ゴリゴリと取り組むことを強いられた。また、他の職員に相談しようにも、数少ない職員で多くの事業を行っていたため、同じ業務に取り組む者がおらず、苦労や悩みを共有するのが難しかった。したがって、困った時に「孤独感」を感じやすい環境だった。

仕事において苦手なことにも取り組み、経験値を増やして乗り越えることは、時には成長につながる場合もあるし、キャッチーな成功談によって美徳と認識されることもあるが、組織活動をするのにとても効率が悪いし、これが可能なのは一緒に苦労や悩みを共有する仲間がいて初めて可能なことのように思う。

このような状況が、各業務に関する担当者の適・不適を勘案した業務配分に少しずつ変化してきたのが、私の勤務期間の前半から中盤にかけての数年間である。その結果、今は私は経理、フェアトレード、奨学金プログラムなどの業務を、他の職員と分担して担っている。

2017年3月アラバット島ペレーズ訪問時、宿舎にて。

ところが、そのような仕事の仕方になってきた今でも、「ここには仲間がいない」と思うことがたびたびある。いくつか理由があるのだろうけれど、パッと思いつくのは「対等性」と「業務の押し付け合い」である。

各々の得手不得手や知識の差、その業務の経験の差により、同じ仕事/プロジェクトを担う者同士でも相談事を一緒に考えてベストな方法を探るということが可能な場合とそうでない場合がある。また、そのようにしようとして「差」を埋めるべく相手に事情の複雑さや現時点での自分の考えを説明していると、その間に自分が引き受けて片付けてしまったほうが早い、と感じてきてしまう。自分と同じ業務を「分担して」やっていれば、「ここ困ってて」「そうそう、それ大変だよね~」なんて言いあえるのだが、仕事/プロジェクトを共有していても業務はやはり各人異なることをやっていたりすると、「共感」や「対等な感じ」を得られないことはよくある。

同時に、各人が異なる業務を、各々手一杯引き受けたりしていると、少しでも人に任せられることは任せたいという発想になる。他の職員から「ついでにこれもお願いしたい」と言われたときに、「いやいや、それはあなたの担当でしょ」とNOを突きつけないと、自分の壁をどんどんと侵食されてしまうのだ。

そして、その最大の問題点は、「業務を引き受けたが最後、担当業務をやって当たり前」と思われているように感じることである。
担当業務、あるいは依頼を引き受けた業務において、引き受けた者がどのような工夫をしているのか、失敗を活かしてどのように改善させているのか、関心を持たれない。良く言えば「全幅の信頼で任されて」おり、悪く言えば「問題が起こるまで放っておかれて」いると感じさせられる。「私がなにをしても、頑張っても頑張らなくても大して影響はないらしい、とりあえず仕事を回していれば」という気持ちになる。

ひょっとすると、そんな風に感じる職場や場面は、きっと少なくないのかもしれない。

かつて私には、仕事終わりに「今日もよくがんばってくれたね」と事あるごとに声をかけてくれる上司がいた。そんな人とのふれあいを経験している私には、アクセスの職場は殺伐としているように感じた。

「やって当たり前」など、ない。「滞りのない」状態は、放っておいて実現するものではなく、日々の小さな積み重ねの継続で成り立っているものであり、その継続自体が組織を存続させている。
それは、きっと「職場」にとどまるものではないとも思っている。私の友達には長年付き合っていても一緒にいる中で自然に「ありがとう」と言ってくれる人が何人かいる。「ありがとう」をいちいち介すべき関係かどうかはその人たちによるけれど、どのような場・関係性においても、やはり「当たり前」はないんだと思う。

アクセスにおいては、「やって当たり前ではないこと」「ありがとうをしっかりいうこと」などについて、特にここ1年くらいの間に、各職員が少しずつ意識をしてきているように感じる。この調子で「当たり前ではない」ということが組織の風土としてしっかりと定着し、「お疲れ様」「ありがとう」「大変だったね」「助かりました」というような言葉かけが自然に出るような人間に、私もなっていきたいと思う。

同時に、業務を依頼され引き受ける際に、自分の時間的・能力的なキャパシティで可能かどうかを検討しつつ無茶振りを押し付けられないように予防線を張る術を各々が身に着けてきているようにも思う。

(つづきます)

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