【インタビュー】第1回:子ども教育サポーター 岩西紗江子さん

アクセスは30周年を迎えました。これからも、いろんな方にもっといろんな形で関わっていただきたい。そこで、アクセスに関わってくださっている方のお話をヒントにして、アクセスのことをよく知ってもらえる機会を創りたいと思い、アクセスの関係者の方々のインタビューを連載していきます。

テレビ電話でインタビューを行いました。

第1回目は、子ども教育サポーター(旧称:奨学金サポーター)の岩西紗江子さんにお話をうかがいました。学生時代にアクセスのスタディーツアーに参加して以来、20年近くアクセスに関わってくださっています。長きにわたって岩西さんがアクセスと関わり続けてくださっている真意をお聞きしました。
(聞き手:野田沙良、記録:竹内彩帆)

1999年夏にスタディーツアー参加

ツアー参加時に、ピナツボ火山被災地の実験農場にて芋掘り

―岩西さんとは実はお会いしたことなかったですよね?

 そうですね、同じ大学だけど、私は学生の時に何回かアクセスの事務所にお邪魔しただけだったし、野田さんとは入れ違いでしたね。

―滋賀のご出身で龍谷大学に通われていたんですね。  

なんとなく東南アジアに関心があって龍大に。東南アジアに行ってみたいと話していたら、同じゼミだった友達がアクセスのスタディーツアーのチラシを持ってきてくれて。そんなに金額も高くもないし行ってみようかなーと、参加しました。

―ツアーは岩西さんにとってどんな体験でしたか?  

スラムに入るのは初めてでした。実は最終日、帰国直前にそのスラムで火事が起こったんです。それはとてもショックな経験でした。

ツアーは、同世代の子と話せて楽しかった一方で、現実を見、肌で感じて、色々なショックを受けて、においなども含めて体感することが多くていろいろ感情が揺れた日々でした。

―私の場合、フィリピンに行って初めて、「困っている人」の名前や顔が見えて他人事じゃなく感じられるようになったのですが、ツアー行く前と行った後で、自分にとってフィリピンの意味や印象がなにか変わったりしましたか?

バナナとかのイメージはあったけど、フィリピンっていう国のことを自分は全然知らなかったんだなって改めて感じましたね。

あとは、フィリピンが気になる、意識する場所のひとつになりましたね。本やテレビで知っただけの情報じゃなくて、出会った人たちの顔が浮かぶようになった。思ったより都会なところもあれば想像より大変なところもあるし・・・そういうギャップがいっぱいある場所だと知って。具体性がすごい増したように思いました。  

でも同時に、こういう場所はフィリピンだけじゃなくて、世界中にいっぱいあるんだろうと感じて、その中で私のできることって本当に少ないんだろうなという気持ちもわいて、複雑な気持ちになりましたね。

子ども教育サポーターをつづける理由

―ツアーへの参加に加えて、岩西さんは長い間、子ども教育サポーターを続けてくださっていますよね。(注:子ども教育サポーターは、年15,000円のご寄付で、フィリピンの一人の子ども(奨学生)の就学をサポートする制度。サポートしている子どもから、プロフィールが届いたり、文通することもできる。)

スタディーツアーに一緒に参加していた人が子ども教育サポーターだったんです。「1年に1回素敵なワンピースを我慢したらできるよ」と言っていて、「そういう選択肢があるんだ。私もそういう形で協力できるかも」と思い、子ども教育サポーターになりました。

―なるほど。岩西さんが20年近く辞めずに続けている理由はありますか?

お金にすごく余裕があるというわけではないので、「縁があったところだからつながっていこう」と思っています。それから、顔が見えているスタッフさんがいる団体なので、というのも理由です。

あとは、会費を引落にしているので、振込みに行く手間がなくて楽ですね(笑)。

―もう支援してくださった奨学生は何人も卒業していますよね。

そうですね。最初アペロクルス地区の奨学生で、その次はペレーズ地区の子も・・・
やっぱり「ちゃんと卒業してるんだ」ってわかるのが嬉しいですね。「あ、もう次の子に変わるんだ。ちゃんと卒業できたんだ、よかったな。役に立ったのかな」と思えます。

―子どもからお手紙が届いたときはどんな気持ちですか?

長いことサポーターを続けて複数人の奨学生の手紙を見ていると、子どもたちの個性が見えてきますね。「この子はこんな感じの絵を描くんだな」とか、「女の子は絵が上手!」とか。
最初の方は、フィリピンがキリスト教文化だから、神様へのお祈りの気持ちが手紙の中で普通に出てくることなんかが、日本での手紙のやりとりとは違って新鮮でしたね。

―そうですよね。文化を感じたり、何人も見ていくと個性を感じたりするのは楽しいですよね。私も以前奨学生を支援していた時、自分の奨学生の成績が悪くてちょっとショックだったことがあったんです。親の気持ちってこういうことなのかなって思いました(笑)

長年見ていると感じる変化

―岩西さんは災害などが起こったときに寄付されることもあるとお伺いしましたが、ほかの団体やフィリピン以外の国について国際協力活動に関わったりされていますか?

ユニセフを通じてたまに寄付したりしています。ずっとユニセフへ寄付し続けるのには負担感もあって、寄付しようと思った時だけ寄付してますね。ユニセフからの資料を見てると、写真がきれいとか、感情に訴える文章が上手だなとか感じます。きっと資料にお金をかけてるんだろうなって思ったり。

アクセスの場合は、ツアーで行っているので見知っている場所が対象だし、長年ニュースレターで活動の様子を具体的に知っていて、特に親しみを持っています。個人的になんとなくスタッフさんとつながっている感じがあるので、応援したくなります。

それと、20年見てると、ニュースレターのクオリティがどんどん上がっているなっていう変化を感じますね(笑)

―そうですよね(笑)フィリピンの変化だけじゃなくて、アクセスそのものの変化も見て楽しんでもらっているんですね。

フェアトレードのクリスマスカードもどんどん良くなっているのを感じます。
ツアーに行った後、大学の授業で話をさせてもらったら、フィリピン支援のためにバザーに出展することになって。授業を履修していたメンバーと一緒に学園祭で、アペロクルス地区でつくられたカードなどを販売しました。そのころに比べるとカードのクオリティーが上がっていて、スタッフさんや現地の生産者が日々がんばっているんだろうなと感じます。

できることをやろう

―はがきとか切手や古本もたくさん寄付してくださっていて、いつもありがとうございます。とてもありがたいです。

協力の選択肢がいろいろあるのがいいなと思います。手軽で、片付けしながらできたりとか。

私は20年一人で細々、ゆるゆると活動を続けています。学祭でのバザー以降は、大きなことはできてません。本当は私から寄付の呼びかけとか広げられたらいいのかも、とも思うけど。もし、自分だったらいきなり押されたら引いてしまうなあと思って(笑)。家族にもツアーの思い出話をしたり、奨学生から届いたカードを見せたりしますが、「一緒にやって」というようなことは言っていないです。

でも、「自分はできる範囲でやり続けよう」と思っています。

―いきなり押すと引かれるし・・・っていうのはありますよね。
 でも細く長く支援してくださる方は、子どもたちももちろん、私たちスタッフにもとても励みになって心温まります。

もっと子どもたちやフィリピンの日常が具体的にわかったらいいな

―アクセスやフィリピンと関わっていて、充実感が得られる点や、物足りない点などあったら教えてください。

良いところは、ちゃんと支援している子が卒業しているのがわかること、ニュースレターを通じてスタッフが頑張る様子や現地の様子がわかることですね。

一方で、私が送った手紙やプレゼントを奨学生がどう思ってくれてるんだろう?とか思ったり。奨学生の励みになるということで、私からの手紙は、自分や家族、ペットの写真を載せてつくったりしますが、それに対する反応はわからないので、どんな風に受け取ってくれているのかはちょっと気になりますね。

それから、自分の支援している奨学生が、普段どんなことを感じているのか、どんな勉強が楽しいのか、好き・嫌いとか、日常のありふれたことがもっと分かるといいなあとは思います。

―今年度は奨学生数も増やそうと思っていますが、どうやって子どもたちの普段の様子をみなさんにお届けしようかは、いつも悩むところです。

のださんのフェイスブックを拝見するのは、いつも楽しいですよ(笑)
写真一枚と一言でいいから、どんどん更新していくと見る人が増えるかもしれませんね。

「こんなことが面白いの?」と現地の人が思うことが、日本の人にとって面白いことってあると思うんですよね。私は日本国内でいろんな地域に住んできて、そのたびにびっくりすることがいっぱいあるのに、地域の人に話したりすると反応が薄いことがあるんです。今住むところでも、春先の風が強くて「この風すごいですよね?!」って言っても、地域の人は「ああそうだね」ってくらいの感じで(笑)

―印象に残っている奨学生はいますか?

具体的にこの子っていうのはパッとは思いつかないんですけど・・・
(と言いながら、岩西さんは子どもたちからの手紙を入れたファイルを取り出して見せてくださいました)

将来の夢が警察官という子が多いように思うのですが、なんでですかね?

―おそらく、定収入が得られる仕事なので、親が勧めるというのが一つあると思います。それから、子どもたちにとって出会う大人の目立つ職業が警察官ということなんだと思います。

警察官ってフィリピンであこがれの存在なの?スラムとかの人たちにとって、怖い存在じゃないのかなあ?って・・・不思議ですね。  

今の子たちの進学や就職の状況はどうなのでしょう?小学校を卒業したことはわかるのですが、その先は職を得たりできているんだろうか?って。

―一部大学に進学している子もいますが、ほとんどは卒業後、働きに出ていますね。
 中学校を卒業できていると就職について小学校卒よりずっと有利なので、最近では中高の奨学金プログラムへの需要が高まっているのですが、小学生とは違ういろいろなサポートが必要になってくるので、具体的にどうするかは検討中ですね。

自分の支援がこの子たちの未来にどのようにつながっているのか、小学校を卒業することがこの子たちにとってどんな意義があるのか、ということがもっとわかると嬉しいかもしれないです。全員でなくても、写真付きで今どんな風に過ごしているのか、具体的なケースを紹介してもらうと、よりイメージしやすいかも。

どの子も幸せになってほしい

―岩西さんは今、ご家族と一緒にいろいろな地域でお住まいなのですね。

夫の転勤に合わせて日本各地を転々としてきました。

私は、滋賀では博物館で働いたり、新潟では小さな図書館で働いたりしていました。今は島根で、小学校の支援員をしています。学校の先生のサポ―トに入って、子どもたちの学校生活や学習の手助けをしています。

―娘さんがおられるとのことですが、子どもが生まれてからフィリピンの子どもたちに思うことなどは変わりましたか?

「どの子も幸せになってほしいな」と、より強く思うようになりましたね。安全に、お腹をすかすことなく、成長してほしい。フィリピンに限らず日本でも、問題を抱えている子はいますよね。

生まれた場所や時代によってなんでこんなに差があるのかなって、すごく感じます。

現在の岩西さん

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「今後もゆるくつながっていきたいと思います」と語ってくださった岩西さん。
また10年後に、「こんな風に変わったね!」とお話いただけるよう、今後も変化を楽しみつつ活動を見守っていただけたら嬉しいです。
 

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フィリピンの新学期である6月までに、ぜひお申込みください。

★月々のサポートも大きな力になります。

私たちが考える一番大切なことは、「変える力をつける」ということです。

モノやお金の支援は、今困っている人にとってすぐに役に立ちますが、いつまでも提供しつづけることはできません。長期的に見た時に必要なことは、問題の解決策を自ら考え、変えるために行動できる力です。そんな力をつける活動は、定期的なサポートをいただくことで、長期的に計画・実行することができます

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