フィリピンの食堂と、私の大好きなメニュー

石川雅国

アクセス・フィリピン 経理総務担当

1993年よりフィリピン在住

フィリピンでの外食というと、都市部ではファーストフードレストランがどんどん増えていて、特に若い人に人気があります。しかし、「カリンデリア」と呼ばれる庶民的な食堂も、根強い人気です。家族を養っていかなければならないお父さん・お母さんたちは、1ペソでも節約しようと、安価に食べられるカリンデリアをよく利用します。このほか、「トゥロトゥロ」と呼ばれる屋台の食堂もあります。

カリンデリアやトゥロトゥロでは、すでに調理されたおかずが並んでいて、お客は食べたいものを指さして注文します。中には、道路に面しておかずを並べている店もあり、そういう店では、ほこりが入らないように、ガラスやアクリルのショーケースに入っていたり、蓋がかぶせてあります。お客は、一つ一つふたを開けて全てのおかずを確認し、「ああ、やっぱりこれがいいわ」と注文の品を決めます。店員は注文されたおかずを、小皿に一人前分よそいます。

主食である米は、カップにすり切れ一杯が一食分。ご飯を詰めたカップをお皿の上にひっくり返して、盛ってくれます。若い男性だと、一つ半とか二つ注文する人もいます。あるいは、食べ始めて、ご飯一食分では物足りない時は、「もう半分ちょうだい」と追加してもらうこともあります。

持ち帰りしたい時は、ご飯とおかず、それぞれをポリ袋に入れてくれます。スープ類の場合は、ポリ袋が二重になります。そうしたポリ袋が環境破壊につながるから拒否したいという人は、弁当箱を持っていって注文の品を入れてもらうことができますが、そんな人は滅多にないので店員さんは戸惑いがちです。

アクセス・フィリピン事務所のスタッフ御用達の食堂

ファーストフード店か大衆食堂かという選択については、値段以外に「行きつけの店でなじみになると、家庭料理のような雰囲気が味わえる」ということもあります。また、大衆食堂の料理はフィリピン料理主体なので、ファーストフード店にはないメニューがあります。食材も冷凍品ではなく、その日の早朝に市場で買い出ししてきた肉や野菜なのも、大衆食堂が人気の理由です。

昨年以来のコロナ禍の中で、一時は客が来なくなった時期もありましたが、少しずつ回復してきていて、以前と変わらないくらいの賑わいを見せています。コロナ感染対策としては、並んでいるおかずと客の間にビニールが張られて仕切られていたり、テーブル間の距離を広くとって食べたり、持ち帰りする客が増えていたりします。また、コロナ禍の影響で、都会ではUber Eatsのようなデリバリーサービスもかなり普及しました。ファーストフード店の前では、オートバイや自転車で配送する若者が多数待ち構えているようすが見られます。

カイラのお気に入り食堂 「Chef Von(シェフ・ボン)」

シェフ・ボンは、フィリピン人が大好きなレチョン(豚の丸焼き)が売りの食堂です。マニラ首都圏内にいくつか支店があります。最初にシェフ・ボンのことを知ったのは、大学生の時。学内に支店があったので、友人と放課後などによく食事をしていました。私のお気に入りは、シニガン(酸味のあるスープが特徴の、代表的なフィリピン料理)とポーク・シシグ(刻んだ豚肉、玉ねぎ、柑橘の汁、チリを鉄板で焼いたもの)です。どの料理もアツアツを提供してくれ、その上、学生のお財布に優しい値段です。3~4人前の量があるシニガンスープがたった85ペソ(約170円)、シシグも89ペソ(約180円)と、フィリピンの他の食堂に比べてもずいぶん安いのです。私にとってシェフ・ボンは、単なる食堂ではなく、学生時代の友人との思い出が詰まった場所です。ストレスだらけ(大量のレポート!!)の日々の中で、シェフ・ボンでの食事は私たちの癒しでした。

24時間営業のシェフボン

(教育啓発担当スタッフ カイラ)

サンドラのお気に入り食堂「MERCY’S TURO-TURO(マーシーの食堂)」

サンドラ・レファソ

ペレーズ事務所 フェアトレード事業担当

店主のマーシーさん
サンドラのお気に入り、卵とゴーヤの炒めもの。フィリピン料理の中では、あっさりめの味付けです。
東屋が飲食スペース

店主のマーシー・レゴドンさんは、2011年にこのお店を始めました。夫と二人の娘に手伝ってもらいつつ、店をきりもりしています。朝食の時間帯には、焼きそばやおかゆ、プト(蒸しパン)、ビコ(ココナッツミルクと砂糖で味付けした餅)、パンケーキといった軽食。昼食と夕食の時間帯は、数種類のおかずと白米を作り置きして提供しています。注文に応じて、パンシット(ビーフン)、ロミ(具だくさんラーメン)やマミ(あっさりラーメン)をその場で調理することも。お客さんの多くは、学生、公務員、建設労働者、NGO職員です。店内は清潔で、料理が作りたてで美味しい上、値段も高くないので、人気があります。私の一番のお気に入りは、卵とゴーヤの炒め物(ギサドン・アンパラヤ)です。少し苦みがあるゴーヤが美味しく、健康的でもあります。マーシーさんの作るこの料理は、水分も塩分も適量で、ちょうどよい美味しさなのです。

軒先に置かれたテーブルに、おかずが入った鍋が並ぶ

(了)

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