フィリピンの雑貨店サリサリストア

石川雅国

アクセス・フィリピン 経理総務担当

1993年よりフィリピン在住

隙間があればどこにでも

フィリピンの都市でも地方でも、サリサリストアという小規模な小売店が必ずといってよいほどあります。正確な統計はありませんが、30世帯あれば1軒サリサリストアがあるように見えます。サリサリストアの多い理由は、子どもの多いフィリピンの家庭で、家事や子育てしながらできる小ビジネスとして、サリサリストアを選ぶ家庭が多いからです。(とはいえ、仕入れた商品を家族が自家用に使ってしまって利益が出ない、と嘆いている店の話しをよく聞きます。競争相手も多いので、必ずしも成功させやすいビジネスとは言えません。)

どこのサリサリストアでも置かれている定番の商品は、長期保管できる物が中心です。ソフトドリンク、ビール、醸造酒、調味料、日用雑貨、賞味期限の長い食品などです。販売量が一定量あれば、工場から直接配送車が回ってくることもあります。あるいは、パン屋が農村のサリサリストアにパンを配送して回る、といったこともあります。多くの種類の商品をそろえておきたい場合は、自分で行くか人に頼んで大きなスーパーで仕入れすることになります。なので、サリサリストアの小売価格は、スーパーよりも高くなります。フィリピンの貧困層地域では冷蔵庫のない家も多いので、そうした地域では、氷を売るサリサリストアもよく見かけます。これは、ポリ袋に水道の水を入れて凍らせたものです。

農漁村ペレーズ地区在住スタッフ リザさんの場合

今日は近所のサリサリで、
お酢と醤油を1本ずつ、魚の缶詰を2つ、インスタント麺を2袋買いました。
店主はマスクをつけ、店先にはアルコールが設置されています。
私は毎日この店で買い物をします。
塩や胡椒、玉ねぎやニンニクといったものが足りない時、足りない分をすぐ買うことができます。

ここが面白い、フィリピンの雑貨店

サリサリストアの特徴の一つは、とにかく少額商品が多いということです。タバコが1本ずつバラ売りされていたり、調味料は1回の調理分に小分けされたものもあります(例:しょうゆ10ml)。また、スナック菓子など、2ペソ(4円)程度の小袋が鎖のようにつながっているものがあり、買いたい数だけ切り取って買えるようになっていたりします。

サリサリストアの経営では「つけ払い」の扱いが重要です。つけ払いは絶対ダメという店もありますが、ある程度つけ払いできるようにしたほうが売り上げは伸びます。つけ払いの内容はノートに細かく記帳され、週末に労賃が入るとつけ払い分の精算をする、というパターンが良く見られます。

店舗の構造にはいろんなパターンがありますが、自宅の一画をサリサリストアにしているお店によくみられるのが、万引きを警戒して、客が中に入れないようになっている店舗です。店舗部分の窓に鉄格子や金網がはめられていて、外から商品名を伝えると、店の人が鉄格子の隙間や30センチ四方ぐらいの小さな窓から商品を手渡してくれる、という構造になっています。

マニラ首都圏マラボン市在住スタッフ ジセルさんの場合

我が家では、あまりサリサリを利用していません。スーパーの方が安く、感染予防という意味で、より安全だと感じるからです。スーパーのオンラインサービスも利用しますが、ほしい商品が揃っていないこともあるので、やはり実店舗での購入もときどきしています。
サリサリは、コンビニより少し安く、今欲しいものをすぐそこで買えるという意味で、とても便利です。また、「tingi(ティンギ)」と呼ばれる小分けパックでの購入ができるので、ほんの少しだけほしいという時には、スーパーよりお得です。

都市スラム、トンド地区在住スタッフ ジェイミーさんの場合

サリサリは、食料や生活必需品を買える、最も身近なお店です。この辺りの住民の大半は、歩いて数十秒のところにあるサリサリで買い物を済ませます。今朝、今着けているこのマスクをこのサリサリで買いました。パンデミックが始まってから、近所のサリサリでも、マスク・フェイスシールド・消毒用アルコールが売られています。とはいえ、住民の多くは家計に余裕がなく、そうした品物には手が出ません。感染予防グッズを買うよりも、まずは空腹を満たしたいと考える人が多いです。

サリサリストアは、物を売るだけじゃない

そんなサリサリストアですが、売っているのは物だけではありません。携帯電話を利用する人が増えた現在では、携帯料金の少額プリペイドカードを販売したりインターネットのデータが1GBでいくら、というように売られるようにもなっていて、IT化の影響を受けて取り扱うサービスも変化しています。

サリサリストアは、コミュニティのうわさ話の中継所にもなっています。店の軒先に置かれたベンチに腰掛け、買ったばかりのタバコやジュースを片手に、お客さんたちが雑談していくのです。商品やサービスだけでなく、情報の流通においても重要な役割を果たしています。

2010年にスタディツアーに参加してくれた舟橋さんが、サリサリストアについての本を出版!

舟橋豊子さん

立命館大学政策科学部准教授

『フィリピンのサリサリストア』は、2011年から200店舗余りのサリサリストアを現地調査した内容を中心に、人々の暮らし、企業、財閥、流通、さらには貧困層をビジネス対象とした動きなどを現状に絡め、まとめたものです。フィリピンを深く知ることができます。
調査にあたり、アクセスの石川雅国さんと野田沙良さんをはじめとして、多くの方々にご協力いただきました。特にアクセスの現地スタッフはガイド兼タガログ語通訳を務めてくださり、サリサリストア店主との架け橋となりました。皆さま、本当に有難うございました!
発行は2021年6月上旬予定です。是非、お手にとってお読みください。フィリピンの実情がこれまでより分かり、もっと身近な国になることでしょう。

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