スタディツアーに参加した高校生からの手紙

春のスタディツアーに参加した石井弥由珂(いしいみゆか)さんから、胸がアツくなるお手紙をいただきました。石井さんに許可をいただき、皆さんにも共有させてもらえることになりましたので、記事としてご紹介します。

お久しぶりです。暑くなってきましたが、いかがお過ごしですか、お変わりありませんか?

私は以前にも増してたくさんのしたいことに囲まれて毎日忙しくしています。スタディツアーから帰国した際、父に「もう少し疲れた顔をして帰ってくると思ったら、行く前より活力がある」と言われるほど楽しく、そして記憶に残る経験でした。私にとって初めての海外経験でしたが、アクセスのこのスタディツアーで良かったと心から思います。少し思い出を振り返らせてください。

アクセスならではの貴重な機会「家庭訪問&インタビュー」

初日、トタンや木で作られた民家と近代的な高層ビル、ふたつが並んで存在している光景に、まず驚きます。私が印象に残った一つ、トンド地区ヘルピングのスラム街。インタビューの1時間、自由に、自分自身の言葉で、これほど近い距離で質問させていただけるなんて、アクセスのツアーならではの本当に貴重な機会でした。

「幸せを感じている時は、親族が集まるときや井戸場会議をしているとき」
「10歳の少年の夢はエンジニア、家族のため収入を得る、家を建てる」 
「いま欲しい物は一日十分に食べられる食事」

インタビュー終了後 アクセス職員さんが「このお家は礼節を重んじているお家だ、少年の喋り方がとても丁寧だった」とおっしゃっていました。貧しい生活の中で、教育も緩ませることなく、子どもを思い、良い生活のために努力するその姿勢、家族愛に あらためてこのご家族にお話を伺えたことを光栄に思いました。

幸せな時間だったホームステイ

ホームステイ。はじまるまでとても緊張していましたが、ご家族が本当にお優しく、幸せな時間でした。

ダイニングキッチン バスルームの一部屋+寝室一部屋 全て合わせても八畳ほどであろうお家、その生活をイメージしながら過ごしました。そのお家のお子さんは、私と同じ17歳で ええ!? と驚き合いました。

「Kawaii means cute?」
「Yes! 」
「You’re kawaii!」
「No, way! Thank you so much . you’re kawaii too !」

夕食はフィッシュアンドチップス、イメージしたものとは少し違いましたが、魚を丸ごと揚げたもので、これをバナナケチャップにつけて食べます。これがあまりに美味しく感動しました。タガログ語と日本語、言語が違ってもスマホで写真を見せ合って楽しく話をします。夜はスコールに見舞われ、天井のトタンに打たれる雨音が響きます。天候は悪いものでしたが、その日の寝付きは本当に良いものでした。朝、隣のお家の陽気なミュージックと鶏の鳴き声で目覚めます。扉がないので、部屋に当たり前に鶏と大型犬が入ってきます。

用意していただいた朝ご飯を食べて迎えの時間を待つのですが、年少のお子さんが鳩の餌やりを体験させてくれて、それもとっても楽しかったです。私の人生で5本の指に入る思い出深い一日でした。

頭がパンクしそうになりながら

貧しさを知るということはかなり気力を使います。あまりの情報量に頭がパンクしそうで、思考を放棄したくなりました。 それでも、アクセス理事長のさよさんが「考えることをやめないで欲しい」とおっしゃっていたことを思い出し、おかげで経済問題、貧困について向き合うことができたこと、嬉しく思います。貴重な経験をいただいて、ありがとうございました。

正直に言ってしまえば、国際協力は余裕のある人の活動だろうと思っていました。しかし、さよさんやアクセスの活動について知っていくうちに、行動したいという意思によるものと知りました。

フィリピンの経済は、ASEAN主要国の中で見ても成長しているとばかり、見出しにのみ気が取られ、農村部や離島は経済成長に伴って都市部との格差が生じていること、考えてもみませんでした。

特に教育については、私も家庭の経済状況が理由として勉強の機会が与えられない、その歯痒さが想像に難くないので、いずれ子どもサポーターとして支援が出来ることを願うばかりです。

ペレーズは貧困か? というディスカッションの際、私は初め 貧しいとは思わない との意見をだしました。衣食住という表面的な問題だけ考えていたからです。しかし、参加者のSさんが「選択の自由」について言及してくださりました。選択肢がないこと、機会に恵まれないこと、望めないこと。それは現代の日本で選択できる立場にいる私が、あの場で気が付かなければ理解することは出来なかったと思います。大学受験を見据えて将来について考える上で、このツアーは大きな要素の一つになりました。私は家庭環境等、苦しいことも多く悲観的になりがちなのですが、ここ最近、私は私の夢を持っても良いことに気が付いたので、後は自分なりの努力を続けていきたいと思います。

アクセスで活動する、パッションを持っている大人のキラキラとした姿に凄く憧れを持ちました。いつかまたお会いしたいです。その時は、よろしくお願いします。これからも、アクセスのご活躍を応援しています。

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