3年ぶりのスタディツアー 高校生の目に映ったフィリピンの今

2023年に入り、ようやくスタディツアーを再開することができました!
1月には立命館高校、2月には立命館宇治高校の生徒さんたちをマニラで受け入れました。

今日は参加者の一人である小川怜音さんのレポートの一部を、記事としてご紹介します!フィリピンを旅した気分をちょっぴり味わえる、ステキなレポートです。ぜひご一読ください。

高校3年生 小川怜音

現地に立って見えてきたこと

飛行機から見えたフィリピンの景色は、住宅が密に建っている地域もあれば、一面木が生い茂っている地域もあった。ところどころに見える池や海の水の色は、薄暗く濁っており、決して綺麗とは言えず、自然と心の中に不安の念を抱いていた。飛行機から降り空港を出ると、蒸し暑い空気の中、車のクラクションが常に鳴り響いていた。今回の旅をサポートしてくれるアクセスさんに出会い、宿泊先へと向かった。

向かう途中のバスからは、見慣れない光景が続いた。屋根の上で何か作業をしている人、屋台でお菓子を売っている人、険しい顔で力仕事をしつつも、こちらを見て目が合うと手を振り返してくれる人。異国の地の慣れない喧噪に少し怯えていたが、手を振り返されたことで、私たち外国人を受け入れてくれたように感じ、ほっとした。

また、街中を散策している時にも、「Where are you from?」や、「Good morning」「Hi」など、幾度となく声をかけられた。現地の学校を訪問した際も、私たち日本人の姿を見るなりすぐに、大歓声を上げて心から歓迎してくれた。つたない英語で話しかけても、喜んで質問に答えてくれた。折り紙を生徒たちに紹介した時も、異国の知らない文化に対して、興味津々で向き合ってくれる姿が見られた。大歓迎されることは今まで経験したことがなかったため、とても感動した。

彼ら現地人の本心は、そうやってコミュニケーションをとることが当たり前で、特に大した意味もなく手を振りかえしてくれたのかもしれないが、日本人の私にとっては、貴重な体験で、日本での暮らしと大きな違いを感じた。日本では、街中で知らない人に声をかける文化はなく、一人一人がイヤホンで音楽を聴いたり、スマホを見たり、忙しそうに颯爽と歩いたりといった光景がよく見られ、逆に、いきなり声をかけると怖がられて遠ざけられることもあるだろう。だが、それでも、勇気を出して声をかけてみると、優しい反応をしてくれる人も日本にはいる。陽気に迎え入れてくれるフィリピンの人々と、心の中にある優しさを時折見ることができる日本の人々。フィリピンの人々にしかない温かさを知ると同時に、私は日本人がもつ温かさにも気付くことができた。

都市スラムで訪問したおうちで、インタビュー先のご家族と

また、現地住民の方々にインタビューを行うと、ほとんどの人が口を揃えて、「家族と過ごす時間が何よりも大切」と話していた。一番苦しいことは何かを尋ねると、「子どもに十分な医療を与えてあげられないこと」と答え、一番幸せなことは何かを尋ねると、「家族みんなで誕生日を祝うこと」と答えていたことが印象的だった。

どの家庭も、家族のために朝から晩まで働き、何が何でも子どもたちに学校に行かせてやりたいという思いが伝わってきた。また、子どもたちに将来の夢について尋ねると、教師や医者、弁護士、キャビンアテンダントなど、様々な夢を語ってくれた。そして、夢を語る彼らの表情は、まっすぐで希望に満ち溢れており、とても胸を動かすものがあった。

また、フィリピンの人々は、どれだけ苦しくても、笑顔でいることを大切にしていた。実際にスモーキーマウンテン周辺を訪れた際も、決して良い環境とは言えない暮らしの中でも、明るく生きる人々の姿があった。子どもたちは走り回ったり、私たちに元気に声をかけてくれたり、どこからか歌声が聞こえてきたり、むしろ、フィリピンの人々の生き様を見て、逆に勇気を貰うほどだった。 

事前研修で抱いていた、薄暗い印象は、現地に立つと大きく変わった。もちろん、貧困に苦しむ人の中には、今の暮らしに絶望を感じながら生きている人もいるかもしれない。たった数日で全てを感じ取れたわけではないが、少なくとも、私が目にしたのは、毎日を力強く生きる人々の姿だった。

フィリピンの人々の国民性に触れて

公立学校で子どもたちと交流!

誰かに受け入れてもらうことや、認めてもらうことが、どれだけ安心できるのかを実感できた。私は、フィリピンの人々のように陽気に明るく振る舞うような性格ではなく、日本人の国民性自体も、フィリピンとは反対の、真面目で寡黙という印象があるため、フィリピンの人々の国民性に触れ、価値観が大きく変化した。

ある夜に、ホテルから誰かが歌っている声や、楽器を奏でる音が聞こえてきた。日本であれば、騒音だと迷惑がられるであろうことも、フィリピンでは日常だった。私は、そこで「うるさい」と思うのではなく、「自分たちの笑い声も気にしなくていいんだ」と感じた。日本には、「自分も我慢しているから他の人も同じように我慢してほしい」という考えがあり、フィリピンには、「自分も皆も好きなように過ごせばいい」という考えがあるのではないかと感じた。どちらの考えが合うかは人それぞれだが、ありのままを認めてくれるフィリピンの雰囲気が、私はとても好きになった。

どんな環境でも、笑顔を忘れずにパワフルに生きるフィリピンの人々の姿から、自分の考えも、「表情だけでも楽しくいよう」と思えるようになった。そして、勇気を与えてくれたフィリピンの人々に恩返しができるよう、今回の研修をサポートしてくださったアクセスさんというNGO団体の活動に少しでも携わってみたいと考える。

(了)


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