【インタビュー】 今ある生活を一度振り返ってみませんか? ~誰も犠牲にしない幸せな社会の創造へ、私のアプローチのしかた~

皆さん、こんにちは!アクセスでインターンをしています、来夢です。

突然ですが、皆さんにとっての「豊かで幸せな社会」って何ですか?経済的に豊かな社会ですか?便利な物で溢れ、欲しい物の多くは手に入る、そのような社会ですか?

人によって「豊かさ」「幸せ」の定義は異なると思います。皆、自分自身が思う「豊かで幸せ」な生活に向けて日々生きているのではないでしょうか。

でも、もし幸せだなと感じる今の暮らしがだれかの犠牲の上で成り立っていたら?

それは本当の意味で“豊か”で“幸せ”な社会なのでしょうか?

写真左端:近藤沙紀さん

今回インタビューした、近藤沙紀さん(以下、沙紀さん)は現在、地域おこし協力隊として長野県で活動されています。大学時代にアクセスの活動に参加されており、現在もアクセスを支えてくださっているお一人です。

沙紀さんへのインタビューを通して、国際協力とは何か改めて考える機会になりました。

今一度、自分自身の生活について振り返る時間を設け、自分自身を大切にする事、自分の側にいてくれる人を思いやる事の連鎖が、真に豊かで幸せな社会を築き上げる第一歩になるのではないでしょうか。


沙紀さんとアクセスとの出会い

大学2回生の頃、授業で現事務局長のさよさんにお会いしました。その頃は、丁度大学生活にも慣れ、アルバイトではなく就活で使えるような何かに出会いたかった、そんな時期でした。

私は、国際文化学部に在籍していたのですが、2回生になるまで国際協力ってどういう事をいうのかよく知らなかったんです。

アクセスに惹かれた理由は、国際協力がやりたいからといったものより、何かやりたいという気持ちのある私が微力ながら翻訳等役に立てそうな事があり、既にアクセスで活動していた先輩がいきいきと活動を楽しんでいる話しをしてくださり、新しく入るメンバーを歓迎してくださったから。

このアクセスとの出会いが後の自分にとても大きな影響を与えるとは、この時は想像もつかなかったですね。

今の沙紀さんに通ずるアクセスでの活動とは

スタディーツアー中の一幕

アクセスでの活動の中でもスタディーツアー はとても思い出に残る出来事でした。

1回目はスタディーツアー の参加者として、2回目はスタディーツアー のリーダー(引率ボランティア)として参加しました。

初めてスタディーツアー に参加した時、楽しい出来事も多かったけど、貧困地域だからこそ生じてしまうショックな出来事(例えば、日本では当たり前に受けられる医療も受けられない事etc.)を目の当たりにしました。貧困地域の現実は一人では抱えきれない程の衝撃を私に与えたけど、この今まで体験したことのない感情を共有し支えてくれるスタディーツアー のメンバーに出会い、自分自身の弱いところをさらけ出す事ができたのはかけがえのない経験でした。

現地の子供達と。

リーダーとして参加した2回目のスタディツアーでは、限られた時間のなかで皆の意見をまとめる事が大変でした。(アクセスの良いところは、仲間の意見を否定しないところだけど、話をまとめるのは大変だった!!)

また、日本の子ども教育サポーター(旧・奨学金プログラムの支援者)の方から預かった現地の子どもへの手紙を直接渡すことができ、その時の子どもの笑顔が印象的で、活動への意欲がより強まりました。

他にもアクセスでは様々な経験を積みましたが、何より自分の知見を広げ、様々な活動を見守り、時に手を差し伸べ、私たちの成長を一緒に喜んでくれた事務局長のさよさんや事務局職員の皆さん、アクセスOB・OGに出会え活動を共にできた事が私の人生にとって大きな財産となりました。

アクセスで活動を共にした皆さんと。

沙紀さんの国際協力のスタンスと今の生活に至った訳

アクセスに関わり、学校でも国際協力の勉強をする中で自分の国際協力を続ける上での軸を考えることが多くなりました。これは、スタディーツアーの宣伝や、友人に国際協力の事、アクセスの事を伝える際、必ず「ボランティアってどういうモチベーションでやってるの?」って聞かれたからです。

私の国際協力における軸は「もし自分の幸せが誰かの犠牲の上に成り立っているとしたら…」、そのような世界をつくるひとりから脱したい、そしてこういった「地球市民」という考え方を身近な人から広めたいという思いをもっています。

この軸を持つようになったキッカケは、国際協力のパネルディスカッションを聞いた際、自分の幸せが誰かの犠牲の上に成り立っているのが腑に落ちず国際協力を始めたという話があり、この話にとても共感したからです。

(この話を聞くまでは、便利な世の中万歳!と思っていました。)

就職活動を終えた大学4回生の時、日本でもダウンシフト(現状の生活のペースを落とし「ゆとりある生活」を行う事)する動きが一部では盛んである事を知り、「減速して生きる」(高坂勝 著)という本や「半農半X」(塩見直紀 氏提唱)というライフスタイルがあるという事を知り、自分が日々口にしている食料はどこから来るのか、どの様に栽培されているのか、誰が作っているのか、そのような事に興味を持ちました。またアクセスのスタディーツアーではこのような事柄に詳しい人に出会い、沢山の知識を得る事ができました。

大学を卒業後、長野に移住するまでの5年間は建築関係の会社で働きました。仕事で成果を出すことは楽しかったのですが、何年も考え続けてきた「誰かを犠牲にしない暮らし」って実際どんな暮らしなんだろう、その生活が叶えられる環境に住みたいという思いが強くなり移住する事を決意しました。

実際に私が思う「誰かを犠牲にしない暮らし」とは、

  • 衣→作り手の背景が見え、作り手が消費されていないものを大切に着る事
  • 住→短い期間で壊すことを前提とした家に住まない事、長く愛せるものを使う事
  • 食→地産地消を心がける事

このような暮らしです。

都会では電車が頻繁に往来し、コンビニは24時間営業、スマートフォン1つと小さな生活圏で何でも手に入る生活は便利でしたが、まわりに誰が住んでいるかすら知らない状況で、有事の際を想像すると漠然とした不安や孤独感も感じていました。

今住んでいるところは大都会と同じような利便さはないけど、隣の人とのつきあいがとても深く、美味しいものは分け合い、困った時には駆け込める安心感や温かさを強く感じる暮らしをおくることができています。

脱・便利な生活を経て得たもの

インターンズ: 移住して利便さを求めなくなりましたか?

移住する前は、徒歩圏内にコンビニやスーパーがなく、頻繁にくる電車やバスがない生活を想像をすると漠然とした不安がありました。しかし、その不安は実際に長野で生活をしてみて払拭されました。

逆に、今の生活を通じて安心して過ごすために必要なのは、住んでいる地域との関わりをもつこと・安心できる医療環境が整っていること。この2点なのではないかなと感じていて、逆に言えばそれ以外はどうとでもなる、というぐらいの良い意味で肩の力を抜いて暮らせるようになりました。

沙紀さんのこれから

私の国際協力のスタンスは、もし幸せだなと感じる今の暮らしがだれかの犠牲の上で成り立っていたら?、そのような世界をつくるひとりから脱したい。

そしてこういった「地球市民」という考え方を身近な人から広めたいという思いをもっています。

私たち1人1人が日々の生活を振り返り、意識して丁寧に暮らしてみる。そのような生活を提案していきたいです。

生活をダウンシフトする事は大変勇気がいることで私自身も不安や迷いを感じていました。実際、口先だけで「誰かの犠牲の上でなり立つ生活は良くない」と言うことは簡単ですが、使い勝手のよいお店、商品、購入しやすい価格帯のものが身近にあると自身の収入とも比較してどうしても手が伸びてしまうと思います。

今の私自身のライフスタイルを発信し、少しでもこんな生活をしてみたいなと思ってくれる人が増えたらいいなと思っています。

その中で、捨ててしまう食べ物を減らす、そんな一歩からでもたくさんの人が意識し行動すると少しずつ世界は変わるのではないかと思います。

誰もが生きやすい世の中にしていきたいですね。


インタビューを終えて(インターン・来夢の想い)

インターン 来夢

誰もが生きやすい社会とは。「幸せ」とは何か。

考えれば考える程、答えが見つからない問いだと思います。自分自身が何を学び、どの様な行動をとれば、誰かの、社会に貢献する事ができるのか。私自身、社会に貢献できる人間になりたい。でも…何から始めたらいいのだろうか、人生経験も足りずスキルも足りず…、日々漠然とした焦燥感に駆られています。

沙紀さんにお話をお伺いし、まずは自分自身の生活から見直そう、自分自身に本当に必要な物は何なんだろうと自問する事からはじめたいと思いました。

今ある環境に感謝しつつ、地球市民の一員として、自分にできる事一つ一つに取り組んでいこう!と思う良いきっかけになりました。

(了)

アクセスの活動を一緒に支えてください!

アクセスでは誰も犠牲にしない幸せな社会の創造をめざして、ゆっくりですが歩みを進めています。そんな中、アクセスは新型コロナの影響により、収入が激減してしまい存続の危機にあります…

私たちインターンや、学生時代の沙紀さんのようなボランティア・スタツア参加者が学び、成長できる場が存続できるように。こよかったらマンスリーサポーターになって、アクセスの活動を支えてください!

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