【インタビュー】お坊さんと国際協力

今回の登場人物

みなさん、こんにちは!
インタビュー企画も第四弾となりました!

今回は、、

ちん

2020年上半期インターン生。
中国出身で、現在は正規学生として関西の大学で勉強中。

アヤコ

2020年上半期インターン生。
現在は海外大学院進学のためギャップイヤー取得中。

の二人が行なったインタビューをご紹介いたします!

突然ですが皆さん、「お坊さん」と聞くと何を思いつきますか?
”お坊さんって実際普段どんなことをしているんだろう…”と疑問に思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回インタビューさせていただいたのは、兵庫県・尼崎で僧侶をされている中平了悟さんです。

ーー お坊さんと国際協力?結びつかないなぁ ーー 

と、正直私たち自身、インタビューをする前にそう感じました。

でも終わってみると、全くそう思いませんでした。
むしろ、結びつかないと勝手に思っていたことに疑問を抱くくらいです。

ー 「縁」 ー

それが今回のキーワードです。
「色んな形の国際協力があるんだ」とこの記事の読者の方々に思っていただけると幸いです。

中平了悟 さん

尼崎にある浄土真宗派清光山西正寺の住職さん。
お寺に集まる方々と書き損じはがきを集め、そのハガキをアクセスに寄付することで、一人のフィリピンの子どもの就学を継続して支援してくださっています。

※ハガキがお金に変わる仕組みが気になる方は、こちらをご覧ください。

西正寺で行われている催しなどをチェックしたい方は、Facebook, Twitter, YouTubeをチェック!

アクセスとの「縁」のはじまり

中平さん:

実は日本には、国際協力に取り組むお坊さんたちがつくったNPO「アーユス」という団体があります。お防さんたちが中心となって寄付を集め、日本生まれのいろんな国際協力NGOに助成する活動や、世界の現状を知ってもらう活動をしています。

僕も色々ご縁があって、そのアーユスに関わっています。

アーユス自体は東京に拠点を置いてるんですが、関西でも活動を充実させていこうという動きがあったんです。そこで、関西でもネットワーキングのための交流会や講演会を開催したりする活動をしようってなったんですね。

それで1回目の例会を開催するときに、スピーカーとして来てくださったのが、野田さん(アクセス事務局長)でした。

そこで野田さんにアクセスの活動についてお話をしてもらいました。そのあとも、出身大学が同じということで話が盛り上がりました。それが僕がアクセスとの関わりを持つきっかけですね。

インターンズ:

なるほど。ということは、アーユスとのご縁がきっかけとなって、野田(アクセス事務局長)との出会いにつながったんですね!

広がる「縁」
〜始めてから繋がる色んな輪〜

ここまで、中平さんが国際協力を行うアクセスの活動に携わってくださっているきっかけをお伺いしました。
ですが、なんとここで中平さんから驚きの言葉が!

中平さん:

正直、アーユスやアクセスに関わるまで、僕にとって”国際協力”とか”国際貢献”って、身近なものではありませんでした。

”自分の周囲の人をどう僕の手で助けることができるのか”という想いの方が僕の中では強かったんだと思います。

僕は、講演会でアクセスの話を野田さんから聞き、野田さんと知り合いになった。だから、身近な存在である野田さんの活動を応援したくなった。実は書き損じハガキを集めることも、「野田さんがなさっている活動の応援になるなら…」という関係の中で起こってきた動機ですよね。

もちろん、それの行き先が「フィリピンの支援になる」ということは知っていましたが、野田さんと出会わなければ、フィリピンの支援のためになった具体的に動きをすることはなかったかもしれません。

そういう意味では、”フィリピンのためになった”というのは後からついてきた話なんです。


と、驚いていたのも束の間、

中平さんがこうお話を続けてくれました。


中平さん:

でも、アクセスにハガキを寄付することで、一人のフィリピンの子どもを支援するようになって。支援した子どもやその親御さんが書いてくれた手紙を読むことができたりとか、学習環境を知れたりして…

”あぁ、こんな風にして直接的に影響があるんだな”

お寺での様子

って感じました。

門徒さん(=お寺の檀家さん)と一緒にハガキを集めているのですが、その結果報告として「こんな風にして一人の子どもさんが学校に通えてるんですよ」って手紙を見せたりすると、門徒さんたちにも手応えを感じてもらえたりするんですよ。

門徒さんの中には、4円ハガキなど「それいつのハガキ?売ったほうがお金になるんじゃない?」って思うくらいのを探し出して持ってきてくれたりする方もいるんです。3月までの募集でも、夏頃に探し出して持ってきてくれる方もいますね。

支援している子どもやその保護者から届いた手紙を受け取った時は、遠い、顔も見たことのない人に対して、メッセージを丁寧に書いてくれたと言う事実がやっぱりグッときますね。

それに、何年か継続して支援していると成績表も見れたり、その子の「成長」が見えるんです。

だから、なんだか親になった気分なんです。見守ってる感覚というか。

*注:支援する奨学生の成績表のお届けは、2018年度で終了しました。現在は、奨学生からのお手紙と、現地スタッフが書いた奨学生についての報告書をお届けしています。

色んな形の「縁」
~人との繋がりを考える~

これまでは中平さんとアクセスの繋がり、そして中平さんがアクセスでの活動に携わっていただく中でできた繋がりをお伺いしました。

それを踏まえて私たちは、これまでアクセスとか関わってきてくださった中平さんに、今後アクセスがどのような団体になってほしいかをお伺いしました。

中平さん:

僕と野田さんの場合、同じ大学出身ということで話が盛り上がって、アクセスと繋がっていきました。
そういう風に、ちょっとした共通点があるみたいな縁で、活動に参加してくれる人が増えていくっていうケースって多いと思うんです。

だから、そういう縁の広がりが、出身大学が同じというだけじゃなくて、いろんな面でつながりが広がっていくような団体になればいいかなってことは思います。

インターンズ:

確かに。もっと大きな繋がりを持って、外に広がっていけるといいですよね。

中平さん:

ただ大きく広がっていくだけではなくて、

インクルーシブな視点を持ちながら(特定の人々を排除しないという視点を持ちながら)、どのようにして課題と向き合っていくかの姿勢を伝えていける団体になってほしいなと思います。

何もしてなかったら見えないものがたくさんあるだろうし、感覚的にはなくても誰かを無意識に傷つけていたりとか、差別的なことをしていたり…

そこに対するインクルーシブな視点をどれだけたくさんの人が持ち合わせているか。

それが大事だなって思います。

お坊さんとしての自分

中平さん:

世間では多くの人は、

「お坊さんって何してるの?」とか、
「お坊さんって何のために存在してるんだろう?」って思ってると思うんです。

だから僕自身も、

「なんのために自分(お坊さんとしての)がいるのかな?」
「お寺って何のためにあるのかな?」

ということを、自分の中で探してきました。

そんな中で、アクセスを通してのフィリピン支援活動や、地域での活動など、色んなことに自分が関わっていくことで、お寺の存在意義や、お坊さんが動く意味というのをちゃんと手応えとして感じることができるようになりました。

そこから、「お寺は人との縁を繋げるハブのような機能を果たしてきたんだ」、と思うようになったんです。

「繋げていく」という働きを一つ一つやってきて、そのことが今、手応えになっているなと思います。

「赠人玫瑰 手有余香」
(「薔薇を贈っても、その香は手に残る」)

中平さん:

「寄付の感覚を変えること。」

僕がお寺にいることもあって、このことをずっと考えています。

お寺は、”お布施”っていう寄付で運営されているので、いかにして寄付を集めるかということを考え続けなければなりません。でも、”窮状を呼びかける”ような寄付の集め方では、自分自身がしんどい。自分を納得させるというメンタル的にも、寺の経営を成り立たせるという意味でも、”寄付の感覚”を変えることが必要だと思っています。

これは僕がアクセスと出会うよりも前の話なのですが、

お寺のあり方を考えていく中で、NPOの運営の特徴が、非常に参考になるなと思ったんです。

”寄付”による運営方法。
”人との関係性”の構築方法。
”共感を得る”ための方法。

それで僕は、お寺で何かする際にも、そういったことを意識して行うようになりました。お寺という場で、「人の関係性」がどう構築されるのか、何が起こっているのかを意識しています。

西正寺でのイベントの様子

お寺で行うときに「代金」をとる、というのもちょっと違うんですよね。
だから、参加費は、「お布施」「お賽銭」という設定にしたり、「募金箱」をぽんとおいてみたりしています。

”寺の窮状を呼びかける”のではなく、”イベントの対価としての寄付”でもなく、このイベントを継続して欲しいか、このイベントを開催しているお寺を応援したいかどうかの”問いかけ”として、募金箱を置くようにしています。

いかに「安く」関わるかではなく、その場やその試みの維持に協力したいかどうか、その場の維持を願うかどうかを考えてもらうことにもなりますし、主催者である私自身も問われることになります。

インターンズ:

でも寄付って、ある人からするとハードルが高いのかって思います。
例えば、学生とかだと自分のお金じゃなかったりとか、収入が安定してなくてとかの理由で寄付をする余裕がない。

そのような方々に寄付を呼びかけるにはどのようにすればいいかアドバイスなどはありますか?

中平さん:

自分自身がどんな思いで寄付をしているのかを考えてみる、

実際に「寄付」や「募金」という行為を重ねてみるのもいいのではないでしょうか。

“寄付・募金をする側”と、”それをもらう側”と、
それぞれの立場にならないと見えてこないものが結構あると思うんです。

寄付のことを考えるときに、自分が寄付・募金をするときの気持ちを実際にして見つめなおしてみる。
そして、また受け取る側に立って見て何が見えてくるかで、わかってくることがあるんじゃないでしょうか。

だから一回、募金箱を持って街角に立ってみるとか。
自分の企画や活動に対する寄付を呼びかけてみるんです。

そうすると、”誰が”どんな感覚”でお金を出してくれているのか”が少なからず分かると思うんです。

友人だから入れてくれたんだな。
企画に対して入れてくれたんだな。
企画面白くないけど、義理で入れてくれたんだな。

とか。

それらが如実にその箱の中に反映されてきたりするんですよね。

もちろんこれらは自分が寄付するときにも当てはまることです。
だから、自分の経験でしかないですが、寄付・募金を「もらう側」と「出す側」のどちらかではなく、常にアンテナを立てながら、両方に立つことをし続けてみる。

僕の経験上そうすることによって見えてくるものがたくさんあると思うんです。
そうすると必然的に、自分の寄付する感覚っていうのも変わってくると思います。

寄付を募る側からすれば、わずかな少額でも嬉しいんです。

そのことがわかると、自分が寄付することも、フットワークが軽くなっているような気がしています。
「少ないんじゃないか」とか、「どれくらい」とかそういうことで悩むよりも、助けになりたいときに、どうすればいいのか、わかるようになってきた気がします。

インターン(中国人留学生の陳):

そのお話を聞いて、中国の「赠人玫瑰 手有余香」という言葉を思い出しました。

意味は、「バラを他人に贈ると、そのバラの香りが自分の手のひらの中に残る」。

バラ1本はそんなに高価なものではないけれど、それを誰かにプレゼントすることで、される側もうれしいし、プレゼントした側にも満足感やうれしさが残る。少しの額の寄付も、それと同じだと思います。

最後に

今回インタビューさせていただいた中平さんはたくさんの活動・お仕事をされていていらっしゃいます。

インタビューさせていただいた私たちが思うことは、中平さんは、「寄付者」や、仏道を修行する「僧侶」というだけでなく、人生の修行をなさる「行者(あんじゃ)」でもあると思いました。

私たちインターン生もこれらからの将来を築き上げていく中で、
中平さんのように人との繋がりを大切にし、目の前で困っている人を助ける。
そしてそこから広がる輪協力の形を作り上げていく。

これらを心に留めて、私たちも人生の修行の道を歩んで行きたいと思います。

私たちが今回このようにしてアクセスでのインターンを始め、中平さんとお会いし、インタビューさせていただけたのも「縁」があってこそです。

そして、これを読んでくださっている方々との縁も大事にしていけたらとも思いながら、この記事の執筆を終えようとしています。

(了)


活動を一緒に支えてください!

アクセスでは私たちインターン、中平さんのようなサポーター、スタディツアーに参加した人、そしてフィリピンに住む人々などたーーーくさんの人たちが関わってできている団体です。ですがそんなアクセスが新型コロナの影響により、収入が激減してしまい存続の危機にあります…

これからも、子どもたちや女性、若者たちが「生きる力を伸ばせる場」を存続させられるように、よかったらマンスリーサポーターになって、アクセスの活動を支えてください!

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