あなたにとって、アクセスはどのような存在ですか?
「支援先」「ボランティアする場所」「居場所」「取引先・協力団体」・・・・
人それぞれにさまざまなとらえ方やアクセスとの関係性があると思います。
そこで業務を行う人間にとっては、アクセスは「職場」という側面を持っています。
事務局職員が、職場としてのアクセスをどのように捉えているか、「アクセスという職場」と題して、連載します。
第二回(EpisodeⅢ)は、アクセスのサポーターから日本事務局職員となった中村(2年目)の語り、後編です。
前編はこちら→ https://access-jp.org/archives/column/workplace-episode3-1
![](https://access-jp.org/wp/wp-content/uploads/2019/10/S__29884421.jpg)
アクセスという場所
私はアクセスに出会い自分の在り方を意識するようになりました。
在り方は考え方や価値観で構成されます。
多種多様に存在するものと知りながら
実際私たちには 多くの考え方を受け入れることはとても難しく、直面すると混乱してしまいます。
幼いころからの環境や習慣に影響を受け、気づかないうちにパターン化され癖づいた思考はそう簡単には揺るぎません。
そうして固まった世界から外の景色を見ると、とても違和感を覚えるでしょう。
私の場合、その違和感は外ではなく内にありました。
他の世界を知り、今まで安定していたものの観念は崩れ始め
自分が自分ではないもので出来上がっていたことを知った時
もう元には戻れないと思いました。
思い込みの壁が壊れたら そこから初めて自分の道は始まります。
向かった先には、自分を丸ごと受け入れてくれる仲間がいて、自分を表現できる場所がありました。
ありのままでいい場所
アクセスで働くことは、当時国際協力に関する経験や知識がほとんど無かった私にとって、
とても大きな挑戦でした。
ただ「ここで働きたい!」そんな情熱だけでは、どうにもならない焦りや不安。
もどかしく働く日々の中、職員のみんなは
『できなくても当たり前だから』
『そうなろうと思わなくていい』
『~でなければならない』ことはない
『~であってもいい』
そんな風に声をかけてくれました。
暖かすぎるその言葉に 何度救われたことでしょう。
職場に限らず
『~でなければならない』場所には完全性を求められているような緊張感があり
そこに囚われるあまり視野が狭くなってしまいがちです。
視野が狭くなると
・目の前のことに固執する
・考え方も狭くなり、つまずくとどんどんネガティブになる
・自信がなくなり消極的になる
・なかなか前に進めず新しい知識を身につけられない
心に負荷がかかりやすく、なかなか悪循環から抜け出すことができません。
反対に
『~であってもいい』という場所には、枠からちょっとぐらいはみ出ちゃっても大丈夫!
といったのりしろ(余裕)があります。
『~でなければならない』という執着や囚われから解放されることで、心にゆとりが生れます。
固定観念が無くなれば 視野を自由に広げていくことも出来るのです。
視野が広がると
・見方や考え方に幅ができ、違った角度から物事を捉えられるようになる
・自分だけでなく他人にも寛大になれる
・いろんなことに興味を持ち、新たな知識を吸収できるようになる。
・自己肯定感が高まり、自分からも発信できるようになる
向上できることはたくさんあります。
人と人が尊重し合い 互いを配慮することができれば、あらゆる可能性へとつながります。
“のりしろ”(人に対して柔軟な考えを持つ事)は“伸びしろ”(成長のための余白)であり、
その余裕は仕事の面だけでなく人間関係にも良い影響をもたらします。
有難いことに アクセスには出来ないことを出来ないと言える環境がありました。
そのため心に余裕が持てるようになり、
今の私にできることは、“自分の目線から物事を考え見ること” だと気づきました。
経験がないことも、知識がないことも全て 他の人にはない私の武器であるのです。
ありのままの自分を表現すること が自分を活かす道だと知ることが出来た時、
自分のキャリアに気後れする気持ちはなくなりました。
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対話できる場所
アクセスには”普通”というルールの縛りが殆ど無いため
どうしたいのか、どう在りたいのかを自由に選択することができます。
・各個人に合った出勤スタイル
・雑談の時間を楽しむ事
・プライベートを充実させること
もちろん信頼関係あってこそ成り立つものではありますが、
言うならば、これらの 体と心が健康である為に必要なことを優先できるのがアクセスのスタイルです。
また
目指す未来のビジョンを共有するため
あらゆる場面で“対話”なる意見交換が積極的に行われます。
それはキャリアや知識、立場に関係なく考えや意見が言える場であり
・立場の違いから生まれる意味のすれ違いを防ぐ
・いろんな角度から物事を見て考えを共有する
ためのコミュニケーションでもあります。
対話できる環境というのはとても重要だと思いました。
関係性にこだわるあまり、“相手に訊かない”ということに慣れてしまうと、自分の中で処理することが習慣になってしまいます。
私の経験上、そんな環境で思い込んだ『きっとこうだろう』という考えほど当てにならないものはない!
憶測は小さなすれ違いを生み、やがて人間関係の大きな歪となってしまうこと、家庭や友達関係でもよくある話ですよね。
そのたび“訊かない事”や“言わない事”は、“訊けない環境を作ること”と同くらい罪深いものだと感じさせられるのです。
もちろんそこにリスクが全くないとは思いません。
感情のまま意見を伝えれば、時には人を傷つけるということにもなるでしょう。
しかし、互いが何らかの形で影響しあえる存在として尊重できるのなら、そのコミュニケーションは未来に意味を持つのではないでしょうか。
アクセスは自信の持てなかった考えや意見も、『人と違うからこそ貴重』 だと尊重される場です。
お陰で私は 「自分の意見を伝えること」が楽にできるようになりました。
それは傍観者から脱出し、自分の人生に参加することでもあるのです。
活かされる場所
アクセスは最小限の職員で構成されているため、どうしても一人一人の担うものが大きくなってしまいがちです。
最小限の人数で構成された場所だからこそ、パズルの如く私たちは互いの特技を絶妙に組み合わせながら分担しています。
フィールドは肩書の枠を超え、その人がより得意な分野で活躍できるように配慮されます。
また苦手なことは開示し、できる人のできないものとトレードすることが可能です。
それは優劣の問題ではなく、ただ違いを理解して個を尊重する、ということです。
不思議なもので
共に行く仲間というものは、漫画のストーリーの様に それぞれが違う特技や武器を持って集まります。
自分が持っていないアイテムは、誰かが持っているアイテムであり、おのおのが各分野で惜しみなく活かされるのであれば
それは一つの大きな完全体になるのです。
ただ、私は自分の持っているアイテムを使えば良いだけ。
考え方はとてもシンプルで効率的です。
私は私らしくいればいい。
誰かと比較して自分に無いものを残念がるのではなく、自分にあるもので満足できれば
人はとても豊かに過ごすことができるのです。
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雨垂れ石を穿つ
アクセスという場に出会い、わたしはいろんなことができるようになりました。
もちろん
この様な心地よい環境が創られるまでに費やされた労力と時間は、決して少なくなかったでしょう。
私の知りえない時間の中で、様々な人との出会いを通して困難や経験と向き合い、七転八起しながらも変化できた賜物だと思うのです。
今できることが小さくても、その一歩を踏み出さなければ奇跡を起こす変化も生まれません。
面倒くさくても今できることへの努力を怠らず、そして何よりも変わることを恐れないこと。
理想の世界はその果てに具現化されると 私は信じています。
振り返れば私も多くを失い、再生し奮闘してきました。
アクセスに出会わなければ、
私は自分で創り上げてしまっていた迷宮から未だに抜け出せていなかったかもしれません。
ですが 自分の在り方に違和感を持てたからこそアクセスと出会えたのです。
“その時”の自分がどうであれ、全ての経験は必然的に道の中にありました。
そう思うと、何もできなかったあの時の自分も、窮屈だったあの場所も、
今ではとても愛しく感じられるのです。
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自分の在り方を模索しているときにアクセスのカフェイベントに出会い、その後アクセスへの入職を果たして、自分自身の変化を感じてきた、中村。
この中村の語りを読んで、「アクセスという職場は、こんなに素晴らしい部分ばかりじゃない」と鳥肌を立てたのが、3年目職員の竹内でした。
「アクセスという職場:EpisodeⅡ~職員・竹内の語り~」に続きます。
EpisodeⅡはコチラ → https://access-jp.org/archives/column/workplace-episode2-1
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