子どもたちと一緒に、困難に向き合う

本記事は2018年にアクセスのニュースレターに掲載されたものです。

6年生のAちゃんが夜遊びするようになって

ペレーズ地区の子ども教育プログラム担当スタッフがこのところ気にかけてきた奨学生の一人が、6年生(12才)のAちゃんです。卒業まであと半年というところで夜遊びが始まり、お酒を飲んだりもしていることがわかりました。本人と話をしてみると、保護者が、Aちゃんを中学校に進学させないと言っていることが背景としてあるようでした。

そこでスタッフは、本人と保護者、それぞれと話す場を設けました。保護者との話し合いでは、「本人が態度を改善するなら、進学させてもいいと思う」という結論に。その後、Aちゃんには保護者の想いをスタッフから伝えました。進学できるかもしれないと聞いたAちゃんは、何も言わずに涙ぐんでいました。しばらくして保護者の方から「夜遅くまで遊ぶことが減り、家事も手伝うようになってきた」という嬉しいニュースが入りました。

Aちゃんのこと、「名前で呼ぼう」

こうしたAちゃんについて、スタッフたちが気になることがもう1つありました。それは、彼女の生い立ちと、ニックネームです。Aちゃんは幼い頃、実母からミルクや食事をろくに与えてもらえず、やがて両親から見棄てられ、2才の時に近所の人に預けられたという過去をもっています。自分の誕生日も知らないまま育ちました。そして、今の保護者に引き取られてからは「アンアン」というニックネームで呼ばれるようになりました。これは、地元の言葉で「バカ」というような意味がある言葉です。保護者も友達も近所の人も、Aちゃんを本名で呼ぶ人はいませんでした。

そこでスタッフたちは、彼女のことを本名で呼ぶことを周囲の人に呼び掛け始めました。今は、アクセスのスタッフと保護者が、Aちゃんを本名で呼んでいます。「名前で呼ばれるようになったことも、彼女の行動の変化につながっているような気がする」と担当スタッフは話します。しかし、まだ友達や地域の人たちは、彼女をアンアンというニックネームで呼び続けています。時間をかけて働きかけを続ける必要がありそうです。

子どもたちとともに困難に向き合う3人

アクセスの子ども教育プログラムは、子どもたちが小学校を卒業できるよう、物心ともに支えるものです。文房具・制服・給食などを提供すること、子どもたちの学びと成長の場を用意すること、そしてAちゃんのような問題に直面している子どもと向き合い、問題を一緒に解決しようとすることに取り組んでいます。

担当してくれているのは、ペレーズ町生まれの3人の女性で、子育てをしながら地域の子どもたちの力になろうと奮闘してくれています。当初は決められた事務作業をこなすことで精いっぱいのように見えたスタッフたちでしたが、最近は、「奨学生の〇〇くん、先生から体罰を受けていたことがわかって。今は学校と連携して解決しようとしているの。」といった報告をよくしてくれます。困難の多い子どもたちと向き合う難しい仕事ですが、3人のこれからに期待しています。

子ども教育プログラム担当スタッフの声

リザ・メルカド

子どもたちを励ます

私が苦労しているのは、学校の授業や行事、アクセスが行う補習授業に出席し続けるよう、子どもたちを励ますことです。子どもたちの中には、友達からのいじめや、先生からの暴力・暴言のために、学校に行けなくなるケースがあります。また、お小遣いをもらえないことや(フィリピンでは昼食やおやつ、文房具などを買うためのお小遣いを毎日学校に持参するのが一般的)、朝食がないことは、特に低学年の子どもにとっては、学校に行くのがとても辛く感じる理由になります。学校の授業や補習授業を休んで漁に出たり、魚や食べものを売り歩いて働き、家計を支える子たちもいます。そうした子どもたちを前にした時、私は自分の無力さを感じ、悲しくなることがあります。それでも私は、家庭訪問をしたり、子どもたちと話し合う場をもつことで、学校に通い続けるよう励ましています。

ジェン・オスタガ

権利を守る

権利侵害で悩む子どもをサポートするのは、私の大切な仕事の1つです。問題解決のため、子どもたちや保護者、学校の先生と話し合うことがしばしばあります。でも、学校の先生や専門家の方々と話し合おうとしても、軽視されることがあります。子どもの権利に関する私の知識が不足していたり、問題解決のための話の進め方が未熟だからだろうと思います。なので、保護者向けの子どもの権利セミナーは、私にとっても大切な学びの場となっています。もっと経験を積んで、子どもたちの力になっていきたいです。

ライカ・フェブラー

子どもに合った授業を

奨学生のための授業案作りに、私は苦労しています。奨学生の学年はさまざまで、一人ひとりの興味や能力、暮らしぶりも異なります。授業案作りでは、これらすべての要素を考慮する必要があります。どの子にも学びがあるように工夫するのはとても難しいことです。私は時間をかけて努力や工夫をし、特に丁寧な指導が必要な子どもたちに注意を払って、補習授業に取り組んでいます。

教員としての経験を生かして~インターンの声~

ペレーズ駐在中の私の任務の1つが、現地スタッフとともに奨学生のためのサマークラス(夏期講習)を充実させることでした。特に伝えたかったのは「教え・学びに夢中になること」です。スタッフには教えることを好きになってもらう、子どもたちには学びを好きになってもらうこと。それを通じて出席率向上や学力向上、補習授業の課題解決につなげるようにました。
難しかったことは、1~6年生までの子どもたちに一斉に授業をする工夫です。発表や書かせるアクティビティーで低学年の子たちも同じように学べるよう試行錯誤しながら授業を作りました。授業が楽しいと分かると子どもたちは活発に発表したり、開始前に1時間も前から待つようになりました。そんな子どもたちの授業への期待がスタッフのやる気にもつながり、授業準備にもより力をこめるようになりました。サマークラスを通じて子どもたちには学びの成功体験を積んでもらえたのではないかと思います。それは授業内で習った英語だけに限らず友達と教え合ったりなどの人間性をふくめてのものだと信じています。

海外インターン 岩井さくら
(2017年2~7月現地駐在)

子どもたちの楽しみ、サマークラス!

フィリピンでは1年で最も暑い4~5月は夏休み。6月の新学期まで長い休みに入るため、保護者の方々からは「子どもたちが有意義に時間を過ごせるような活動を」という要望が出ます。そこでアクセスは例年、サマークラス(夏期講習)を実施しています。今年度もスタッフが工夫を凝らして、昨年以上に子どもたちが楽しんで学べるプログラムを企画しています。

  • テーマ 「地域づくりで子どもや若者が果たす役割」
  • 137人の奨学生を5地区に分けて実施
  • 週2回×5週間
地区人数内容担当スタッフ
第1地区26人図画ジェン
第2地区27人図画ライカ
第3地区28人ダンス・演劇アビー
第4地区28人スピーチリザ
第5地区28人未定臨時スタッフ
1か月後の6月9日には、保護者の皆さんや地域の方々を招いて、サマークラスの成果を披露する発表会を開催する予定です。きっと、子どもたちが楽しみながら学び、成長できるサマークラスになるはずです!

補習授業を動画で見てみよう!

土曜日に行っている補習授業は、地域の集会場や、奨学生のお宅の軒先などを借りて実施しています。現在、奨学生のニカちゃんのお宅で行った補習授業の動画をYoutubeで公開しています。ぜひご覧ください!(それぞれ30秒ほどの短い動画です)

英語の手紙書き

★英語の動詞の確認

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