アクセスという職場:EpisodeⅢ(前編)/ 私という道~職員・中村の語り~

あなたにとって、アクセスはどのような存在ですか?
「支援先」「ボランティアする場所」「居場所」「取引先・協力団体」・・・・

人それぞれにさまざまなとらえ方やアクセスとの関係性があると思います。

そこで業務を行う人間にとっては、アクセスは「職場」という側面を持っています。
事務局職員が、職場としてのアクセスをどのように捉えているか、「アクセスという職場」と題して、連載します。

第一回(EpisodeⅢ)は、アクセスのサポーターから日本事務局職員となった中村(2年目)が、アクセスで働くことになった経緯と、アクセスで働き始めてからの自身の変化を、語ります。2回に分けて、お届けします。

最初の一歩

私は2014年アクセスのカフェイベントに参加したことがきっかけで子ども教育サポーターになり、
2018年の1月、ご縁あって事務局の一員となりました。

アクセスの職員になるまではおおかた一般企業の事務職に従事してきました。
仕事に対しての思い入れはなく、ただ無感情にルーティンワークをこなし家に帰るだけの毎日。
職場には対人面で注意しなければならない暗黙のルールや細かい制限が多く、労働条件に関して理不尽を感じていてもそこに自分の意見など言えるような環境はありませんでした。
今思えば窮屈ではあったのですが、
『仕事に我慢や苦労はつきもの!』 
『楽しみや充実感はプライベートで補えばいい』
そう思うことに慣れてしまい、私はいつの間にか仕事に期待することを諦めてしまっていました。

そして仕事で満たされない感情は、もっぱら趣味の旅行で埋めていました。
自分を労うことが目的なので、基本1人旅行です。
1人は自由で気楽なのですが、
分からない事やトラブルは全て自身で解決しなければならないという困難も伴います。
時には子どもでもこなしてしまうような簡単なことさえ出来ず
人の助けを借り情けない思いをした時もありました。
その場所にはその場所の常識や価値観が存在し
これまで身に着けたものがいかに限定的なものであったかを何度も思い知らされ、
当たり前だと思っていたことが当たり前に通用しない世界で私は多くの人に助けられ、教えられ、自分の無知さを知って帰って来ます。

旅先で出会った人たちは、どんな私であろうと関係なく、いつも温かく接してくれました。
何に困っているのか、不便を感じていないか、この先も困らないように・・・そんな気遣いと思いやり。
そこには損得勘定を持たない無条件の愛情がありました。
やさしさに触れ、刺激され、旅を終えるころには心に“情熱”が少しずつ戻ってくる感覚。
私も誰かの役に立ちたいんだと・・・

次第に私は、日常の自分の在り方に“違和感”を抱くようになりました。

私はどうしたいのか?どう在りたいのか?そして何のために生きているのか?

ずいぶん長い間 自分を尊重することなく生きていたため
いざ向き合ってみるも、他人のこと以上に自分のことがわかりません。

“私にできること”は何だろう・・・

とにかく何かを始めたくて、ボランティアが出来る場所を探しました。
全く経験のない私でも気後れすることなく参加できそうなものを・・と見つけたのがアクセスのカフェイベントでした。

イベントは
ワークショップなどを通してフィリピンの貧困を学び、考え、互いの意見を話し合う、学び多き時間でした。
そして初めて知る貧困の現実は深刻で、簡単に変えられるものではないと確信できるほど衝撃的でした。

私が加わったところで何か変わるのだろうか・・・今の生活では活動する時間もないし、余裕だってない。
“どうせ自分には何もできない・・・”と、相変わらず癖づいたブロックが気持ちにブレーキをかけます。
けれど何もしないままでは何も変えられないまま。私はまた何もできない私のまま。
実際に問題に立ち向かい活動している人たちの行動力に嫉妬してしまうほど、躊躇している自分に焦りを感じました。
旅先で助けられ、私も誰かの役に立ちたいんだと、熱く感じた思いがよぎります。

『今の自分にできることから始めればいい』

帰り道、同じイベントに参加していた方に言われた言葉が、一歩を踏み出せない私の背中を押してくれました。
その方は「近々仕事を辞めてフィリピンに移住し、自分にできる活動を現地で探すつもり。何が出来るか分からないが、自分には仕事を辞められるという環境があるからとにかく現地に行ってみる。難しく考えないで、何かやりたいと思っているなら、今日みたいに今の環境でできることから始めればいい」と話してくれました。

そうか!目から鱗でした。
大きく遠い目標ばかりを見ていた私は、“今”という目の前をちゃんと見ることが出来ていなかったのです。

『今日イベントに参加できたこと』 それが既に私の一歩でした。

そしてアクセスとの出会いを境に、私の人生は動き始めました。

人生に参加すること


エンパワメント―

この言葉はアクセスに関わりゆく中で、私の考え方や価値観を大きく変えてくれました。

本来人が持つ能力と、自分で問題を解決する力。

私は今まで、周囲の環境や立場のせいにして、意見は通らないものだと思い込み、何も変えられないと決めつけていました。
これほど恵まれた地に暮らしながら、何も行動することなく変わることへの権利を放棄し自分に最善を尽くす努力をしてこなかった。
自分の人生のハンドルを他人に委ね、一体どれだけ多くのことを諦めてしまっていたのか・・・
“できない”とレッテルを貼り 積み重ね創り上げた思い込みの壁に、その言葉は深く突き刺さり浸透していきました。
他人や環境を変えることが難しくても、自分の中の在り方(考え方)を変えることならできる。
さぐりさぐりの闇の中であっても、いつか射す光の元へたどり着けそうな気がしました。

多くの人との出会いが今の私へ導いてくれたように
“現実は変わらない”と諦めている子どもたちにとっても学校での出会いや関わりが
何かを変えるきっかけにはなるはずで。

必ずしも選択肢は一つではなく、未来には多くの可能性が存在するということを知って欲しい。

環境を変えることは難しいかも知れないが
できるだけ多くの中から未来を選べるようにチャンスをあげたい!
そんな思いで始めたのが、子ども教育(旧:奨学金)サポーターでした。

クリスマスや誕生日のお祝いに、奨学生から届いたカード。

当初、私の支援している奨学生はまだ学校へ通うことが精一杯のようでした。
ですが次第に関心や興味が増え、現在では将来の夢を語ってくれます。
夢を持てる心は自分の可能性を信じる人に宿るものだと思うので、もしそうであるなら本望です。
手紙のやり取りの中で、年々成長と変化を感じ、私はそこに自分の存在する意味を持つことが出来るようになりました。      

 「誰かの人生に参加し 役に立てたのなら 私にできることは、決して小さくない」 

と、今ではそう思えるのです。

アクセスに関わることで、私は自分の在り方を意識するようになりました。
小さな出来事一つひとつにも、どうしたいのか?どう在りたいのか?
自分自身の望む姿に近づくためには 何を選択すればいいのか。
そうやって自分と本気で向き合うほど、
『私の道は、ここ(アクセス)にある!』と強く感じることができました。

職員募集の告知に気持ちが高鳴ったのは、機が熟したというサインだったのかもしれません。

(後編へ続きます)

後編はコチラ →  https://access-jp.org/archives/column/workplace-episode3-2

「子ども教育サポーター」になりませんか?

中村が「私にも、できることがある!」と継続している、「子ども教育サポーター」が、
あと13名必要です。

年間15,000円で、一人の子どもを1年間、学校に通わせることができます!
サポーターの方には、支援するお子さんから、年2回、お手紙が届きます。

一緒に、卒業をめざしてみませんか?

★アクセスの子ども教育プログラムの特徴

.就学サポート

小学校に通うことの困難な貧しい家庭の子どもたちの就学をサポートし、 小学校卒業をめざします。
※2020年度からはハイスクール(中高校)生への支援も開始する予定です。

.子どもを守るための、保護者への働きかけ

保護者に対し、子どもの福祉と権利に関する啓発セミナー等を提供することにより、保護者会が、コミュニティーの子どもたちの保護のための活動を自主的に行うように働きかけます。

3.生きる力を伸ばす

子どもたちを対象にした土曜日・夏休みの補習授業を通じ、
子どもたちの生きる力(ライフスキル)の向上を図ります。

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