「楽しみつつ、収入を得られる仕事」-生産者マリッサさんのライフストーリー

「子どもに教育、女性に仕事」をモットーとするアクセスの2大事業のひとつは、フィリピンの農漁村地域に住む女性や仕事を求める若者に雇用を創出し、現地で作られた商品を販売するフェアトレード事業です。

グリーティンカード生産者団体「Pangarap」(タガログ語で夢という意味)の生産者になって4年目の、マリッサ・ナガレスさんに、お話を伺いました。(2019年夏のスタディーツアーで、ツアー参加者に向けてお話してくださった時のものです)

私は子ども4人(13才、11才、7才、1才)と夫と暮らしています。9人きょうだいで育ち、みんな教育不十分でした。私は小学校しか卒業していません。 夫は漁師をしながらココナッツの農業労働者も兼ねていますが、収入は少ないです。波の高い時期は漁に出られず、収入のない日が続きます。

以前、アクセスが行っていたマイクロファイナンス事業でお金を借りていた私は、アクセススタッフから「カード生産者を募集している」という話を聞き、やってみようと思いました。当時、まだ2歳くらいの子がいたので大変でしたが、作業場に連れて行ったり、義母に預けたりしながら1ヶ月の研修を受けました。

研修中は一日拘束されて50ペソ(フィリピンでは米1kgが約40ペソ)の収入だったので、夫の機嫌が悪くなり、そんな仕事はやめておけと言われたりもしました。しかし私は決意が固かったので、諦めずに研修をやり遂げ、夫も理解してくれるようになって、今は正規の生産者になることができました。

生産者になってもう4年になります。夫が漁に出れない時は特に、カード生産からの収入が本当にありがたいです。 生産者になる前は、まだ子どもが小さかったので、支出はそれほど多くなく、何とかやりくりできていました。しかし今は3人が学校に通っており、交通費や学用品など支出がかなり増えました。カード生産からの収入がなければ、とてもやっていけなかっただろうと思います。 以前は私は主婦でしたから、家事育児はすべて自分でやっていましたが、今は働くようになり、夫も家事育児を手伝ってくれるようになりました。

2019年は3月以降、毎週1500ペソほどの収入があります。それを使って、夫の漁に使う船(二隻目)を造ることができました! 自分で稼げるようになってから、家庭の大事な決断の時に、自分で決められる場面は増えています。二隻目の船のことにしても、自分の収入があるから「やろう」と決めることができました。

今は一歳の赤ちゃんがいるので、他の生産者と話し合った上で、しばらくは自分だけ自宅で生産させてもらうことにしています。家事育児をしつつ、赤ちゃんが眠っている合間にカード作りをしています。

働くのは週に5日。週に50枚生産するのか目標で、同じデザインのカードを50枚分まとめて作リます。最初の2〜3日はすべての材料を切ることに集中し、3〜5日目はひたすら貼る作業をします。切る作業の方が難しいです。

生産者になる前は、私は恥ずかしがりで人前で話すのは苦手でした。でも、生産者としていろんな人と出会い、アクセスの活動の一環で子どもや女性の権利セミナーを受けたり、協同組合やパソコンの研修も受けたりする中で、だんだん自分に自信がもてるようになってきました。人前で話すのも、今はそんなに苦ではありません。 (注:マリッサさんは、元マイクロファイナンスのメンバーで、子ども教育プログラム(旧奨学金)のメンバーだったこともあって、いろんな研修を受ける機会がありました)

たくさん注文が入った時はとってもうれしいです。 カード作りを楽しみつつ、収入を得られるのがこの仕事です。

*****

事務局長の野田いわく、初めて出会った頃のマリッサさんは超シャイで、ほとんど笑顔を見せない人だったとのこと。スタディーツアーで参加者に向けてライフストーリーをお話する時も、以前は原稿を読むだけという感じだったのに、今回のツアーでは原稿なしで話をしてくれたそうです。

そんな想いの詰まっているカードなんだなぁ、とあらためて、手に取る商品がいとおしく感じられるようなお話でした。

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