一人でクラウドファンディングに挑戦した現役高校生の本音

ちょうど一年前、高校1年生から熱い想いのこもったメールが届きました。「フィリピンの教育の現状を変えるためのクラウドファンディングに挑戦したい」とつづられたそのメールが、高校生・松田侑奈さんととアクセスの最初の出会いでした。

目標額に達せずくやしい結果に終わったクラウドファンディング1回目、そして達成率175%を喜び合った2回目。この間、松田さんはどんな気持ちで、取り組んできたのか?

率直な想いを綴ってもらいました。

クラウドファンディングに挑戦した高校生
松田侑奈さん

初めまして、今回アクセスさんと共同でクラウドファンディングをやらせていただきました、高校2年生の松田侑奈(まつだゆうな/17才)です!

2度目の挑戦となった今回のクラウドファンディング。
結果は目標達成!と嬉しいものでしたが、そこに行き着くまでには悩むこともたくさんありました。

ありがたいことに、ずっと読者側だった私がコラムを書かせていただけることになったので、今回のクラウドファンディングを始め、アクセスさんとの出会いやなぜクラウドファンディングを始めようと思ったかなど、詳しく書かせていただきます。
長くなると思いますが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

クラウドファンディングを始めようと思ったきっかけ

将来中学校の英語の先生になりたいと思ってた私は、英語教育に力を入れている高校に進学することを決めました。そして、そこではグローバルで活躍する女性を育てたいという校長の考えのもと、SDGs探求をする授業がありました。私は中学校の英語の先生になりたいという思いから、SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」について探究することにしました。

将来の夢に繋がる内容について探求できることは私にとってとても有意義な時間でした。しかし最も苦戦したのは、「社会に働きかけよう」という目標。

何かものを生み出すなど物理的に解決することのできない教育問題。個人での探求活動を1年生の夏から始めたものの、なかなか活動として良いものが思いつかず、1年生の2月頃まで思いついては実現できずに断念するということが続いていました。

私はボランティアと寄付で何かできないかと考えていたものの、ボランティアはコロナウイルスの影響で実際に現地に行けなかったり、新たに募集しているところが少なかったこと、寄付は高校生の私の力だけでは足りないのではないかということから悩んでいました。

そして思いついたのが、クラウドファンディングで資金を集め、それを団体を通して届けるというもの。
たしかに高校生の私の力だけでは足りないかもしれない。でも、クラウドファンディングで資金を集め、団体を通して支援するというのは、高校生の私にもできるのではないかと思うようになりました。そして、誰を寄付するかなど具体的に考えるようになりました。

私は、寄付と言ったらアフリカというイメージが大きくありました。
というのも、小学校で配られた募金袋には黒人の子供たちの写真があり、私たちが良く口にするチョコレートの原産国について書いてあったからです。

しかし、アフリカ以外にも貧困で困っている国があるのではないかと、日本に近いアジア圏に絞って調べてみることにしました。
そして見つけたのがフィリピンでした。

小学生のときに同級生にフィリピン人の子がいたり、日常でもよく目にするバナナの原産国でもあったりと、近くに感じることも多かったフィリピンで貧困で困っている人たちがいるということを知り衝撃を受けたこと、そしてフィリピンでは英語も話されているということで、実際に現地に行った際に、自分の言葉で現地の人とコミュニケーションを取れるということから、フィリピンを支援する活動をしようと決めました。

アクセスさんとの出会い

そんなこんなでクラウドファンディングで資金を集めて、団体を通してフィリピンに支援をするということを決め、実際に団体を探すことにしました。そして見つけたのが、認定NPO法人アクセスさんでした。

SDGs探求をしていて最も意見が多かったのが、持続可能かどうかについてでした。
寄付はその場限りで終わってしまい、持続可能ではないのではないか、そう言われた時、認めたくはないもののたしかにと思ってしまう自分もいました。それを覆されたのが、アクセスさんの活動でした。

「#生きる力にアクセス」のもと、寄付などで支援を届けつつ、実際に現地の人たちが自分の力で生きていけるような取り組みをされていることを知り、すぐさまHPの問い合わせフォームからメールを送らせてもらいました。

ありがたいことにそのメールを読んでいただくことができ、Zoomでのミーティングも行い、実際にクラウドファンディングをさせていただけることになりました。

初めてのクラウドファンディング

そして決まった初めてのクラウドファンディング。
初めてのことでわからないことばかりでしたが、自分なりにたくさんの人に読んでもらえるようなわかりやすいページを心がけ、アクセス事務局長のさよさんにも添削していただき、実際にプロジェクトがスタートしました。

目標は10人の子どもたちが1年間学校に通える資金18万円(手数料を除く)を1ヶ月で集めることでした。もちろん難しいことはわかっていたものの、結果は思った以上に厳しい現実を突きつけてきました。結果は3万5500円。約2人の生徒が学校に通える資金でした。

しかし、1回目のクラウドファンディングは「All or Nothing型」という、目標額を達成しないと資金を受け取れないシステムだっため、最終的にクラウドファンディングで集めた資金をフィリピンの子どもたちに届けることはできませんでした。

その当時は、もちろん目標達成することができず悔しいという思いもありましたが、それ以上に支援してくださった方々や私のプロジェクトを応援してくださっていた方々に結果として恩返しすることができなかったことがとても心苦しかったのをよく覚えています。

再挑戦しようと決意

学校の探求活動としては、私のクラウドファンディングを通して、社会の人にフィリピンの教育の現状を知ってもらう窓口になったということで、「社会に働きかけよう」という目標は達成できたものの、結果として残せなかったこと、実際の目的であったフィリピンの子どもたちに教育を届けるというゴールは達成できてないということから、このまま終わるわけには行かないと思うようになりました。

そして、再挑戦させていただきたいと事務局長のさよさんに連絡させていただいたのが夏頃でした。

このまま何も変わらずに再挑戦してもきっと成功できない。
そう思い、ボランティア活動などで経験を積んでから再挑戦しようと、アクセスさんの翻訳ボランティアに参加することを決めました。

翻訳ボランティアでは、私がクラウドファンディングで資金を集めてサポートしようとしていた、教育プログラムを受けている奨学生や保護者のお手紙を英語から日本語に翻訳して、日本のサポーターさんに届けるということをしました。

それまではインターネットやアクセスさんのコラムなどを通してフィリピンの現状を調べていたのが、この翻訳ボランティアを通して、実際にフィリピンに住んでいて、支援したいと思っている子どもたちが何を思って、どのように過ごしているかというインターネットでは知ることのできないことをたくさん知りました。そして、それをきっかけにこれまで以上にフィリピンの子どもたちに支援を届けたいと思うようになりました。

しかし、学校説明会や課外活動、定期テストなどが重なり、なかなかクラウドファンディングに進むことができない日々が続きました。

そして少し落ち着いてきた11月頃、クラウドファンディングのページを作成し始めました。
2度目のクラウドファンディングでは、前回の反省を活かしてAll In型という目標達成できてもできなくても資金が受け取れるシステムで行うことにしました。

しかしそのためにクラウドファンディングサイトを変えたこと、税金控除などを受けられる寄付型の申請をしたことで、前回以上にプロジェクト開始までの準備に時間がかかりました。クラウドファンディングサイト運営会社から届いた訂正箇所に関するメールには、5つ以上訂正しなければいけないことが書かれており、再度訂正して申請するもまた訂正箇所が示されたメールが再び送られてくる。

前回にはないほどの準備期間に心が折れそうになることもありました。
しかし、再挑戦すると決めたからには、プロジェクトを実行すること、いや目標達成をしなければと言う思いから、諦めずに何度も修正を繰り返しました。

そして2度目のクラウドファンディングに再挑戦

↑2回目に取り組んだ、クラウドファンディングの実際のウェブページ

そしてようやく申請が通り、やっとスタートできると思ったそのとき。
修正を繰り返していくうちにプロジェクト終了日を変更し忘れており、当初1ヶ月を予定していたものが、半分の15日間でのプロジェクトになってしまうことが判明。

結果から言うと、短期集中型で目標達成もでき、逆に15日間で良かったなと思ったものの、そのときは大焦り。
私は切り替えが早いタイプと母が言う通り、何をどう言ってもこのことが変わるわけではないとすぐに切り替えられたものの、やっぱり不安はありました。

しかしそんな不安を吹き飛ばすように、プロジェクト1日目で1人の生徒が1年間学校に通える資金1万8000円のご支援をいただき、良いスタートダッシュが切れて一安心というのが1日目に感じたことでした。

しかし開始2,3日目、支援が途絶えました。
もちろん、難しいことはわかっていました。きっと1日目は元々私がTwitterで「認定NPO法人アクセス情報拡散チーム」のメンバーとしてアクセスさんの情報を拡散していたことを知ってくださっていたり、今回のクラウドファンディングのために新たに開設したInstagramのアカウントでインスタライブを見てくださって私のプロジェクトを知ってくださった方が支援してくださったのだと思います。

もちろん、私のことを前から知ってくださっていて、力を貸してくださったり、応援してくださるのはとても嬉しいです。でも私のことを知ってくださっている方だけでは、目標を達成することはできない。

わかっていたつもりだったものが、支援が途絶えるという目に見える形で現実になってからこそ痛感した、現実の厳しさがそこにはありました。

毎日Twitterで呼びかけたり、より私という人間が伝わるよう文面ではなく音声として伝えられるインスタライブを始めてみたりとできる限りのことはしたつもりでした。だからこそ、今後何をすれば良いかが分からずにすごく悩みました。

そして思いついたのがフィリピンに関連する人をSNSで片っ端からフォローするというもの。
団体さんがクラウドファンディングなどで成功している確率が高いのは、信頼できるから、普通の高校生の私の活動と比べたらそれはそうだと勝手に思っていました。

しかしそれだけではない、どれだけの人が私のことを知ってくださっていて、どれだけの人が私のツイート・投稿を見てくださっているか、その人数に雲泥の差があるということに気づきました。

知ってくだされば支援してくださるわけではない。
知ってくださっている方が少なければ、尚更支援してくださる方もより少ないということに気がつきました。

そこから、プロフィール欄にフィリピンと書いてあるSNSアカウントを見つければひたすらフォローしていきました。すると段々と知ってくださる方が増えてきたのと同時に、プロジェクトに関してアドバイスを下さる方も出てきました。それまでは1人で走っていたプロジェクトが、皆さんと一緒に作り上げるプロジェクトへと変化していきました。

これは前回のクラファンも含めて初めてのことで、たまたまTwitterで私のことを見つけてくださって、プロジェクトを応援してくださっただけでなく、自分ごとのように1度や2度ではなく、何度も何度もDMでアドバイスをくださったり、ポスター作成の提案までしてくださった方もいらっしゃいました。

ツイッターを通じて知り合い、プロジェクトを応援してくれるようになった方が作成してくださったポスター

ご支援が途絶えてしまうことや、少ない日もありましたが、私以上に私のプロジェクトを自分ごとのように気にかけてくださり、たくさんメッセージをくださる方々のことを思うと、起案者の私がクヨクヨしれいられないなとたくさんのパワーをいただきました。

しかし、ここで終わらないのが今回のクラウドファンディング。
徐々にTwitterのフォロワーさんやInstagramのフォロワーさん、支援者さんも増えてきたものの、プロジェクト終了4日前の夜の総支援金額は11万円でした。

10人の子どもたちが1年間学校に通える資金20万円を集めることが目標。単純計算しても新たに1日3万円のご支援をいただかなければいけない。正直、プロジェクトは達成できないのではないかと諦める気持ちもありました。

何か予定が終わるたびにプロジェクトページに行って、寄付額が増えてないかなと確認するも変わらず。
でも応援してくださっている方々に弱音を吐くこともできず…そう思っていました。

それまで私は当たり障りのないように、誰にも悪く思われないように、そう意識しながらSNS上で文章を綴ってきました。もし自分の考えと応援してくださっている方の考えが違ったら、もしかしたら今応援してくださっている方が離れていってしまうかもしれない。そう思うと、自分の気持ちを素直に表現することはできませんでした。

でも、あの日はある意味深夜テンションでした。
思っていることをそのままTwitterとは思えないくらいの長文で、添削することもせずツイートしてみました。今応援してくださっている方が離れていってしまうかもしれない、そんなことを考えるよりも先に、指が動いていました。

そして次の日、それを見てくださったからか、それともその時にたまたま見つけてくださったのかはわかりませんが、一気に8万円超えの支援をいただき、プロジェクト終了3日前に無事目標を達成することができました。

達成した時私は学校にいて、放課後にさよさんからの連絡をみてそれを知りました。
「達成したよ!」その文字だけが見えて、最初は「え、?達成…ってクラファンのこと…しかないよね、?」と正直喜びよりも驚きの方が大きかったです(笑)

そしてそれ以上に驚いたのが目標達成後に計15万2000円の支援をいただいたことでした。しかもそれが目標達成後2日間での出来事だったのです。目標達成だけで嬉しかったのですが、目標達成後も支援いただけるというのは予想外だっため、これにもまた驚かされました。

目標額20万円でスタートしたプロジェクトは、最終的に34人もの方々から、352,000円のご寄付をいただく形で終了!

元々最終日の夜には最後のインスタライブを予定しており、最後のアピールの場ではないですけど、そんな気持ちで配信するつもりだったので、支援してくださった方や応援してくださった方々と喜ばしい気持ちで行うことができたのがとても嬉しかったです。

ここまで長々と綴ってきましたが、最後に私が伝えたいことは、何か特別なものを持っているわけではない普通の高校生の私が、このプロジェクトを通してたくさんの方に応援していただけて、目標も176%で達成できたのだから、どんな人でも1歩勇気を出して踏み出してみれば、なんでも成し遂げられるということです。

たかが寄付とかもしれない。
でもそこから予想もしなかったお金だけじゃない、そこにしかない人との繋がりを得ることができるかもしれない。
その経験が自分の人生を豊かにするかもしれない。
寄付じゃなくたっていい。
なんだったっていいんです。
何かを思ったらそこから1歩踏み出してみる。
失敗することもあるかもしれません。
でも挑戦した人にしか見れない景色があると私は思います。

私の座右の銘は「意志あるところに道は開ける」です。
これは私が中学校の代表として英語のスピーチをしたときに、夢を与えてくれた先生が私に送ってくれた言葉です。当時は漠然とすごいなとしか思っていなかったこの言葉を、今の私ははっきりと胸を張って伝えることができます。

私の活動が、誰かに良い影響を与えられてたら嬉しいです。
最後になりますが、私のプロジェクトを応援してくださった皆さん、この文章を読んでくださっている皆さんそして、こんな貴重な経験をさせてくださったのださよ局長をはじめ、認定NPO法人アクセスのみなさん、本当にありがとうございました。
今後もよろしくお願い致します。

松田侑奈(まつだゆうな)

松田侑奈さんのSNSアカウントはこちら


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